昨日お取引先が主催されたセミナーに参加させていただきましたところ、金融庁のスタンスについて金融コンサルタントから貴重なご説明を頂きました。
ご説明によれば、昨年の11月から金融庁が金融機関に対する検査のガイドラインをしめした「金融検査マニュアル」の別冊(中小企業編)が改訂となり、中小企業に対する融資についての扱いが大きく変わったとのことでした。
それは債務者区分の変更です。改訂前は不良債権と称する融資先は程度が軽い順に1.要管理先(貸倒引当金が債権額の10~40%)2.破綻懸念先(貸倒引当金が債権額の70%程度)3.実質破綻・破綻先(貸倒引当金が債権額の100%)に分類されていましたところ、今回の改訂で1.の要管理先の区分を無くしたとのことです。
ではそこに分類されていた債務者はどうなったかと言いますと、概ねは要注意先(貸倒引当金が債権額の5%程度)という分類ではあるものの正常融資先に引き上げられたようです。
つまりこれまで債務超過であったり返済猶予(リスケ)をある融資先の一部については要管理先として不良債権に分類していましたが、それらを正常先に位上げするわけです。
この効果としては、まず「位上げ」によって銀行は貸倒引当金が大幅に減少し、結果として自己資本比率が上昇することで、融資余力が増加します。そして融資を受けている方としては、これまでより返済猶予などを受けやすくもなります。
これは中小企業に対する貸し剥がしや貸し渋りを起こさせないための方策であります。数年前竹中政策で、不良債権を厳格に査定し、その処理を急がせたのと対照的な施策です。
ある意味不良債権の先送り的な感じですが、中小企業にとっては優しい施策と言えましょう。
ご説明頂いたコンサルタントは銀行の融資部長をご経験されており、具体的な事例も紹介して下さり良く理解できました。
さてこの施策が不動産市場にどう影響するかと言えば、まずは競売や任売のいわゆる不良債権担保不動産の売却案件が抑制されることが考えられます。
そして、銀行によっては融資余力が増加したとところで不動産融資を出しやすくなっていく可能性もあります。
これまで融資スタンスをリスク回避のため、どんどん厳しくしてきた金融機関ですが、ひょっとすると緩む方向になるかもしれません。となれば程度の良い収益不動産は今の「とことん買い手市場」が、やや売り手寄りになることも考えられます。
しかし一方では不動産ファンドの運用期間終了に伴う処分不動産は増加することもありますので、「売り手市場」とまではいかないとも思われますので、3月以降の不動産市場は微妙な展開になるでしょう。
ともあれ良い物件に対しては取得の決断をしていい環境になってきたとは言えそうです。







