サラリーマン時代に見えなかった漠然とした不安が、最近は見える様になってきました。
その不安は大きく2つあるのですが、その内の一つ、長期的な需給バランスの崩壊を需要サイドからお話させて頂きました。
今回は供給過剰についてお話させて頂きます。
長期的に過剰供給が続くと思う理由は、現在の大量供給と将来的にもそれが止まりにくいシステムになっていると思うからです。
賃貸住宅は地価の下げ止まりと低金利を背景に過去未曾有の大量供給が続いていますし、一度供給された建物は20~30年間ストックとして部屋を提供し続けます。
賃貸市場においての建物供給は、メーカーにとって製造ラインを追加し続けるのに近い効果があると思います。
さらに恐ろしいのは、それが止まりにくい構造になっていることです。
ここ数年で不動産の証券化などによって、不動産開発者と所有者の分離が進み、所有者のすそ野が広がりました。
つまり、開発者は不動産の長期保有リスクをとることなく開発することができ、個人や地方銀行など幅広い投資家層に出口を求めることが可能になったのです。
長期的な需給バランスを全く考慮することない投資家が増えることによって、闇雲に開発が進むシステムが出来上がってしまいました。
恐らく、投資家の多くが需給のアンバランスに気づくまで止まらないような気がします。
昨年の賃貸住宅フェアでも、空室率の上昇、敷礼金及び賃料の下げは10年来続くだろうという講演者が数名いらっしゃいました。
恐らく、この方向は間違いないのだと思います。移民を受け入れるなどのドラスティックな変化が訪れなければ…
余談ですが、しばらく賃料の平均値は下がらないような気がします。
一見、需給のアンバランスと整合性が無いように思えるのですが、ちゃんと理由があります。
新築で最新設備を備えた広い物件が大量に供給されることによって、賃料の平均値が上昇する効果があるからです。
新築が平均賃料を上昇させ、相対的に中古物件の賃料が低下します。つまり、築年数による賃料の下落率が大きくなりそうなのです。
手元のマーケットデータを用いてチェックしたところ、幾つかの地域でそのような傾向が認められました。恐らく局所的な現象ではなく、地価が下げ止まったと云われている地域共通の現象だと思います。
そのような理由で、差別化が為されていない賃貸物件は年数の経過にともなって厳しい経営を余儀なくされそうに思います。
特に築年数が20年を超えた物件は入居率や賃料の下落を筆頭に、入居者の質低下(滞納率アップ、不良入居者による住環境の悪化)、建物の維持費アップ、集客のための広告費アップ、償却費減少による税負担アップなど収入が減って、経費とリスクが増える(キャッシュフローがマイナスになる)理由がたくさんあります。
かつて、我々も祖父母の代に建てたアパートの末期にマイナスのキャッシュフロー経営を体験しました。
やっと決まった入居者が家賃を支払わないのは当たり前、近所に迷惑をかけたり、家を壊したり、刑務所に入ったり。最後は立退き料として数年分の家賃を支払って出て行ってもらいました…。
確か築30年くらいで行き詰りましたが、今後はもっと早く行き詰る可能性が高くなるのでしょうか?
もっとも、好立地で借入金に依存しない経営ならば問題ないと思いますが。
最後は少し脱線しましたが、後日、2つ目の不安の理由についてお話させていただきますね。