不動産投資コンサルタント
猪俣 淳
~ ミクロで見る ~
■■
■■ 地域性を考える
■■
次にミクロで見てみることにしましょう。
京急線は三浦半島から品川にかけて東京湾沿いを走る通勤路線です。この物件の最寄り駅である金沢八景駅は特急停車駅でもあり、関東学院大学・横浜市立大学という二つの大学の利用駅ともなっています。
また、昭和50年代に埋め立てられた工業地帯へアクセスする第3セクターの金沢シーサイドラインの始発駅でもあります。また、八景島シーパラダイスもこの路線を使います。
そういったこともあり駅から海側にかけての地域は平坦であるということも含めて比較的人気の高いエリアと言えるでしょう。
しかし、この物件のあるエリアは海と反対側奥深くはいったあたりでしかも途中からは坂道を延々と登るという場所で、駅に至る街道も朝夕の渋滞がひどいところですからバスの時間も読めません。
しかし、金沢八景駅は京急逗子線の分岐駅でもあります。
こちらの支線で逗子に向かう次の駅は六浦駅。
はっきりいって地味な駅ですが、ここからならば15分で何とか歩くことができます。
このアパートの道路を挟んで反対側にはバブル期に分譲された3LDKのマンションがありますが、ここは六浦駅徒歩15分の表示で当時売り出されていました。
また、関東学院大学は3.4年生が通う六浦校舎と1.2年生が通う釜利谷校舎があり、この物件はちょうどその真ん中にあります。陸上部の第1、第2部室(寮)も何件か並びに建っています。
現在、バイク・自転車は共用廊下や路上に停められていますが、駐輪場を整備して、家賃設定を安めにすれば立地的な問題もクリアできそうです。
このあたりのことはロードマップ・航空(明細)地図・大学のHP・電鉄会社のHPで調べることができます。
■■
■■ 土地と建物を見極める
■■
次の概要は土地と建物についてです。
権利の種類は所有権で公簿390.65m2(118.17坪)となっています。
かなりの面積ですが現地を見てみるとその殆どが傾斜地で、下から見上げると10mを超える鉄筋コンクリート(RC)の擁壁が組まれていて建物はその上に乗っています。
こういった場合、地震で擁壁が崩れてしまわないか、あるいは埋め戻しによる地盤の支持力低下によって生じる不同沈下が起こらないかといった不安が生じます。
この点については擁壁の完成検査済みが出ていましたので一応は安心をしました。
地盤についてもこの物件の並びは岩盤が露出していて支持地盤としては不安のないものといえるでしょう。
また、上から見ると3mほど道路から下がっていて2階の共用廊下が道路と同じ高さにあり、1階の共用廊下は電気をつけないと真っ暗です。
廊下の蛍光灯もワット数が低くなんとなく薄暗い雰囲気ですし、やはり清掃がきちんとなされていませんので落ち葉やごみが散乱してとてもではありませんがここに住みたいといった様子ではありません。実際、空室のほとんどは1階部分です。
ここについては、ワット数の高い照明に思い切って換えることでしょう。
1・2階の廊下にそれぞれ5本、建物の両端にそれぞれ1本。合計12本になりますから総額で12万~15万程度の予算を見ておけばいいと思います。
また、敷地の4分の1ほどはそのまま傾斜地として残してあり建物の周りを含めて雑草やツタ、雑木が生い茂っています。
少なくとも業者に草刈を頼んですぐにでもまわりをすっきりさせる必要があります。
あわせて通行人が捨てていったと思われるコンビニ袋にはいったごみも散見されますので、恐らく、ごみの処分も含めて4~5万円の予算はかかると思います。これについては一回限りではなく継続してメンテナンスをする必要があります。
特に夏場はすぐに雑草が伸びてきますので年2回から4回程度の作業は見込むべきでしょう。場合によってはコンクリートで固めてしまうといったことも考えられますが、高いコストに見合った収益アップは望めそうもないので、これはあまり現実的ではなさそうです
■■
■■ 銀行の評価は?
■■
いずれにしても、土地の形状からいって坪単価からすると銀行評価はあまり出ないと思いますが、かなりの面積がありますから上手くいけば物件価格近くまで融資を受けられる可能性が高いと思われます。
ここで銀行の評価がどのくらい出そうかということを試算してみることになります。
最初に必要なのは路線価の情報です。
いまは国税庁のHPからネットで情報を検索することができます。
前面道路の路線価は130Dとなっていますので、1m2あたり130,000円ということです。
(ちなみにDというのは借地権の場合の借地割合が60%という意味です。所有権の 場合は関係なさそうですが、相続の計算のときに借家建付地の減額割合を出すのに使います)。
ここで
1.道路に接する間口
2.袋地の場合の通路面積
3.地形
4.道路との高低差
5.規模の大小
6.嫌悪施設の有無
7.通行承諾の有無
8.地役権設定の有無
9.道路の方向
10.道路の幅員
11.法地・崖・セットバックの面積
12.路線価の有無
をもとに補正をかけて大体の評価価格を出します。
建物についてはもう少し判りやすく、木造ならm2あたり150285円、鉄骨造なら171,606円、RC造なら173,924円に建物面積をかけて標準建築費を出し、それをそれぞれの構造の耐用年数に応じた経過年数割合
(木造であれば「標準建築費×(22年-経過年数)/22年」という算式になります)
で計算します。
この物件の場合は土地が3,220万円、建物が1,180万円で合計4,400万円の評価となりました。物件価格を上回る評価ということです。
建物の概要は構造:木造2階建 建築:平成2年4月 面積:301.64m2(91.24坪)となっています。
構造・築年はいいとしても、建物面積が怪しいところです。
間取り図面を見るとどう見ても17~18m2というところですから、この面積では合いません。単純に301.64m2を14世帯で割ると21.54m2になりますからもう一回り大きな間取りになるはずです(バス・トイレ別+洗面台。居室は7.5帖で収納が1.8mという感じになります)。
ここでも元付け業者に確認したところ、地下駐車場も面積に含まれていたようです。登記簿謄本によって建物自体の面積は249.91m2であることが判りました。
続きをご覧になりたい方は
「不動産投資ハンドブック 合冊版 ver,1」をお申込ください。
こちら ⇒ http://www.sftd.jp/special/hbver1.php
|