株式会社鹿谷総合研究所
公認会計士 鹿谷哲也
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■■ お金を払ったのに、なぜ経費にならないの?
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以前、顧問先の社長と雑談している時、次のような会話になったことがあります。
社長:「今期はかなり利益が出そうなので
お店の模様替えをしようと考えている。
予算は約800万円だが、これでかなり利益を抑えられますよね?」
私:「お店の模様替えをすることは賛成ですが、
800万円かけたからといって
ストレートに課税所得が減るわけではありません。
一定の期間で按分した額しか経費になりません。」
社長:「お金を払うのになぜ経費にならないの? おかしいじゃない。」
私:「経費にならないわけではなく、少しずつ経費にしていくということです。」
社長:「お金を払うのに払った額が経費にならないなんてどうかしている。
それで何年で経費にするの?」
私:「模様替えの内容によっても異なりますが、14、15年が多いようです。」
社長:「何ですって、15年! 賃貸借期間が5年なのに、
その3倍もの期間をかけ経費にしていくんですか?
あきれてモノが言えない。それまでに店を閉めたらどうなるの?」
私:「その時点で未償却残高を償却することになります。」
社長:「………」
この会話を聞いて(読んで)どう思われましたか?
減価償却費について初めて勉強される方は、この社長のように何か変だな、と思われるのではないでしょうか?
例えば、モノを仕入れて販売する場合、売上金額から仕入金額を差し引いた額が儲けになるということは小学生でも分かります。
ところがこの事例の場合はお金を支払ったにもかかわらず、支払った時点で経費にならないのです。
ヤッパリなんか変だなあ、ですか?
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■■ 減価償却は、費用と収益を対応させる?!
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でも、これはそれほどおかしい理屈ではないのです。モノを仕入れて販売する場合、モノの販売と仕入れは基本的に対応しているのです。
つまり、販売した時点で仕入れた商品は無くなるわけですから、その時点で全額を経費に計上するのは当たり前なのです。
一方、模様替えを15年で償却(経費として計上)するのは、その模様替えが効力を発揮する期間の収益(売上げ)に対応させるためなのです。
模様替えが売上げに直接結びつくかどうかを判断することは非常に難しいのですが、模様替えをしなければ売上げが落ちてくるということはよくあることです。
なお、たとえ資産計上するとしても賃貸借期間である5年で償却するのが正しいのではという反論については、更新すれば何年でも借りられるというのが国の考える理屈です(私の個人的見解ではお店の模様替えの効力が発揮する期間が15年というのは長過ぎます。現在は物理的減価より経済的減価のほうがスピードが圧倒的に速いのです。業種にもよりますが、15年も模様替えないしリフォームをしなければ確実にお客は遠のくでしょう)。
いずれにしても支払った時点で全額を経費に算入することは収益と費用の対応関係から、やはり無理があります。
減価償却というのは、このように費用と収益を対応させるための会計処理の一つの方法であるということです。
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