業者・大家との約束時間前に事前に我々だけで物件を見ておきたかった。
私はアクセルを強めに踏んだ。
テンションが高くなっているのが分かる。 初めての下見。写真でしか知らない恋人に、、、会いに行く思いといったらいいのか。
この坂を上りきった丘に、白亜の夢の物件が・・・・
あるはずだった。
違った。
いったい、あのインターネットの写真は、だれがどうやって撮ったのだろう? 何か賞でも贈ってあげたくなるくらい、すてきだった。でも実物のアパートは違ったのだ。
全面いっぱいに広がる波板トタン。アパートネームから数メートルにわたり白壁に 長々と垂れるサビ。外廊下は、天井からペラペラペラペラ...と向こうまではげている 白ペンキが風に揺れていた。階段も腐食が進み、裏から見ると光が漏れている。 2階に上がるとき、思わずそっと上がりました。こわさないように。
全面的に、何というか「住所不定無職者的緊急修理必須倒壊危惧物件」 に指定したくなる雰囲気を漂わせていた。
「いやあ、やりがいあるねえ。」 妻の、ちょっと泣きそうな気配を感じた私はとっさに言った。
後で聞いたら、そんな僕を「すごい!」と思ってくれたそう。 でも実は、僕だって泣きたかったです。
続く・・・