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不動産投資奮闘記
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- 第一回 - 第二回 - 第三回 - 第四回 - 第五回 - 第六回 - 第七回 - 第八回-
- 第九回 - 第十回 - 第十一回 - 第十二回 - 第十三回 - 最終回 NEW-

『魔窟が「光とぬくもりのアパート」に!「つなぎ服の魔術師」 共輝・結以の挑戦』
共輝・結以」の不動産投資経験記
共輝・結以」の不動産投資奮闘記
共輝・結以は31歳の新婚夫婦。とつぜん「金もうけの神様」?が舞い降り、アパート経営を志す。自分たちを真ん中に、周りの人たちが豊かになれる!そんな「しあわせ金持ち」をめざす、若年兼業大家。「光の魔法」「ラティスの魔法」「アパート通信の魔法」、などなど、「魔窟」を「光とぬくもりのアパート」に変身させる魔法を、汗をかきながら発揮中・・・そんな2人の挑戦の物語。
 <第一回> 「お金の神様が舞い降りた??」
 
「アパート経営ならいけるよ。」

2005年初夏頃だったと思う、車の中で私は妻にぽつりといった。

いつも私はビジネスの話になると夢中で、儲け話が舞い込んでくると妻に話した。
そして、いやな顔ひとつせず(ねむそうな顔は600回くらいしていたが)
私の話を妻は聞いてくれた。
話すことで、頭が整理され様々なメリットデメリットが見えた。

でも、夢は膨らんではしぼんでいくことが続いていた。

その中で、残った夢がアパート経営。
かねてから学生向けアパートのアイデアがあり、そのアイデアを実現したかったのだ。

ある夜、いつものようにインターネットで物件探しをしていた。
道内の不動産屋のHP内のある物件情報が目にとまった。
1億や5000万円などの高額な不動産の中にその物件があった。

北海道室蘭市の学生街に在るアパートだ。
「鉄骨3階建て18戸・1500万円!・表面利回り23パーセント!」
とあるではないか!

妻は「(明日まで)売れないといいわね。」
と1500円のスーパーのセール品のようにけろっと言う。
私は、その夜興奮をおさえつつ床についた。

そして、次の日に早起きをしてそのアパートを見に行くために車に乗り込んだ。


続く・・・

 
 <第二回> 「初恋のあの人は魔物 〜2005年6月中旬 丘の上に23歳のあの人が〜」
 
業者・大家との約束時間前に事前に我々だけで物件を見ておきたかった。

私はアクセルを強めに踏んだ。

テンションが高くなっているのが分かる。
初めての下見。写真でしか知らない恋人に、、、会いに行く思いといったらいいのか。

この坂を上りきった丘に、白亜の夢の物件が・・・・

あるはずだった。

違った。

いったい、あのインターネットの写真は、だれがどうやって撮ったのだろう?
何か賞でも贈ってあげたくなるくらい、すてきだった。でも実物のアパートは違ったのだ。

全面いっぱいに広がる波板トタン。アパートネームから数メートルにわたり白壁に長々と垂れるサビ。外廊下は、天井からペラペラペラペラ...と向こうまではげている白ペンキが風に揺れていた。階段も腐食が進み、裏から見ると光が漏れている。
2階に上がるとき、思わずそっと上がりました。こわさないように。

全面的に、何というか「住所不定無職者的緊急修理必須倒壊危惧物件」に指定したくなる雰囲気を漂わせていた。

「いやあ、やりがいあるねえ。」
妻の、ちょっと泣きそうな気配を感じた私はとっさに言った。

後で聞いたら、そんな僕を「すごい!」と思ってくれたそう。
でも実は、僕だって泣きたかったです。


続く・・・

 
 <第三回> 「初恋に散った私・・・でも、」
 
室蘭の物件のあまりの「魔窟」さに驚いた私たちは、帰りたくなるのをがまんして、きっとムダになるだろう物件の内見に参加した。

中を見ると、
「いやあ、ここはいいよ。」
「はい。年数感じさせないくらいきれいですね。
全部オーナーさんがそうじされたのですか。」
「そうだ。ここなら風も入らないし。端っこの部屋だと寒いしね。」
「???」
不動産会社さんのほうが、苦笑しながら割り込む。
「大家さん、こちらの方は、部屋を借りたいんじゃなく物件購入希望ですが。」
「ああーそうなら、話が変わります!!」という大家さんの反応。

というわけで、ジャケット着ていったのに、まったく賃借人にしか見えない私たち。
悲しくなりながら、相槌だけはいっぱいうって、内見終了。

買う私たちはあまりの魔窟さに買う気がないし、売るほうも私たちを賃借人に間違えるし、仲介もこんなやつが買うのか?
という感じだし、三者みんなやる気ない内見であった。

しかし、捨てる神あれば・・・のたとえあり。帰ってからいつものようにメールを開いてみると興味深い情報が来ていた。
「函館市内に、大学近辺の物件あります。築16年、8戸のうち2戸空き。」
でも、実質利回り15パーセント。表面は17パーセント後半というではないか。
添付写真は、慎重に見ても、室蘭の数百倍はよく見えた。しゃれた白の格子窓。
壁塗装時期が来ている、という情報も、包み隠さず教えてくれる親切なメール。
週末、さっそく現地へ。

2回目となり、装いも一新。
メジャー、メモ帳電卓など、一揃え用意し、事前に壁や、直近の修理代の見積もりをお願いしておく用意周到さ。
さらに、仲介業者の方も、親切ていねい。
私たちは予定の15分も前に待ち合わせ場所に着いたが、すでに待っていた。
30分前くらいからいたそう。説明もていねい。

買うときは、3割の現金(頭金)が必要か?と私が聞くと、
「いや、欲言えは1割でいきたいですね。」と、その業者さんは答える。
「えっ、もっとだせますが。」と私が切り返したところ
「現金はなるべく使わないほうがいいです。なんとかしますから。」

というように、こちらの立場にたって答えてくれるのだ。
フィーはとらずに物件管理、立会いや退去、督促みんなやってくれるとのこと。

督促の思い出話なども聞かせていただき、すっかり意気投合。
熟慮の上、初の買い付け証明書を出すことに・・・

 
 <第四回> 「素人魂」
 
函館で気に入った物件は、木造2階建て築14年、価格は1400万円であった。
買い付け証明は、壁塗装費用を考え、50万円引きの1350万円で出した。
さらに、相手に、単に買い叩いたわけでないことを分かってもらうために、壁の塗装費用の見積もり明細を付けた上、異例の「お手紙」まで書いた。

お手紙は、物件を褒めた上で、あなたの作ったこのアパートを末永く大切にします、というような、心が温かくなるような内容を目指した。

不動産業者へ買い付け証明をFAXしてから、私たちの「フェニックス計画」がスタートした。

「テーマ」は、「住んでいることを自慢したくなるアパート」具体的には、次のような計画をした。(具体的な施工は、以降の号で)

・壁は、足場から実際の塗装まで、すべて自前でやる!
・建物の4隅には、ブリックタイルを張る。壁も明るいクリーム色とし、南欧風の外観を目指す。(ブリックの魔法)
・シンボルツリーを用意。(シンボルの魔法)
・レフ球のスポットライトを4つ使用。建物を下から照らす2台、アパートネームを照らす1台、シンボルツリーを照らす1台。(光の魔法)
・腰まである草ぼうぼうの駐車場は、自分たちで砂利敷き、
モルタル打ちっぱなしの上に、石畳風のプリント塗料を行い、しゃれた小道風にする。

これをやるために、ホームページを見まくり、地元のホームセンターに通いまくった。
ホームページのお気に入りは2ページにも及んだ。

とくに壁の塗装など、まったく素人なので「シーラー」だの「フィーラー」だの「アクリル」だの「シリコン」だの、まるで呪文のよう。

しかし何とか見積もりも取り、塗装は、屋根・壁・階段込み、足場レンタルから道具一式、3日間の指導料(職人さんが来てくださる)全部で60万円ほどに収まった。

ホームセンターでも、砂利4トン!など、買い物したことがない単位の買い物を始めた。しかし、ふらっとやってきた、どうみてもか弱い普通のサラリーマン夫婦から、砂利4トンください、といわれたホームセンターの店員は、妙な気分になったに違いない。

準備万端!ところが・・・・

 
 <第五回> 「ラブレターの返事」
 
函館の物件を紹介されてから、生活に新しい楽しみが加わった。
土日は、限られた予算でできるリフォームを探る日々。
私のパソコンのブラウザの“お気に入り”にある業者リストは60を越え、巻物のようになってしまった。

週末も、函館の物件まで見に行くことが楽しく、自然に近道を覚えた自分に、思わず笑ってしまう。それくらい通った。

物件の寸法を測り、補修箇所を調べ、写真に撮った。
物件下見の帰りは、近隣アパートの家賃相場、空室状況を調べにアパートのある町内を周った。

調べてみると、かなり気になることが1つ。1つだが、決定的にヤバイことを発見。
それは、近隣で満室アパートが皆無なことだった。
8戸アパートで2つの空室は基本。
喫茶店か?と思うくらいおしゃれなアパートも3分の1が空室。
バブル末期、小規模な大学ができ、それを当て込んで建てたらしい。
ところが、この町が中心部から遠く離れ不便なため、肝心の学生はこの町に住まないのだという。
道路の広さ、整った町並みが逆にさびしく見えた。

やはり、物件は必ず下見に行かないといけない。
私たちの希望アパートは3戸空室でも利回りは14パーセントという中古物件だからよいが、新築でバブル末期に建てた大家は悲惨なことになっているそう。
「ほら、あの物件、ローンの関係で、空室でも家賃下げられないんですよ。」
車窓から案内して頂いたときの、不動産業者の話だった。

しかし、私たちには自信とノウハウがあった。
そして、インターネットを通じて得た、頼りになる仲間がいた。
満室にできる・できないではない。満室にするか・しないか、を選択する!
そんな気持ちで真剣に企画を立てた。

しかしまあ、待てど暮らせど売主からの連絡は無し。
わたしの本業も、忙しく、また重要な時期なのだが、もう仕事が手に付かない。
このときの気持ち、なにかと似ているな、と思ったら、ラブレターの返事待ちと同じ気持ちだった。
もちろん不動産業者の方にはたびたび連絡したし、業者の方も親身になってくれていた。しかし、10日待っても、売主は電話にも出ないのだという。
「(売主は)ちょっと変わった方で、買う人はしっかりした人じゃないとだめだ、
とか、空室ができるとすぐ『おい○○!(業者の方の名前)もう売ってくれ!』
と電話きたり。売りたい、という広告も出すな、という方で・・・。
私も、これだけ買主を待たせてキャンセルということは、非常識ですよ、といっておきましたので・・・。」

業者の方は、私たちに済まなそうに電話してくれた。
その後、連絡は取れ、先方はさらに1週間の猶予を希望。
お盆休みにリフォームしたかったのだが、私たちは待った。
しかし、「今日、約束の日だったので、売主の家に行って談判しました。
(わたしが売主にあてた)お手紙も相手に渡し、3時間くらい話し合ったのですが・・・気持ちが変わった、ということで。もしもし、聞いていらっしゃいますか?」

業者さんの電話を受けたわたしは、返す言葉もなかった。

 
 <第六回> 「失敗はあきらめた時が失敗」
 
初の物件取得に失敗した私は、意地になった。

「おい、つぎ(の物件取得)どうする!」

車で妻にぶっきらぼう聞く私。

しかし、インターネットでも電話の問いあわせでも、自己資金200万円で、買える物件など1つしかなかった。

「室蘭か・・・。」

室蘭のぼろアパートを思い出した。
上下水道代まで大家もちにもかかわらず、15000円という家賃。
それなのに、18戸中9戸空室。このままでは赤字かもしれない。

そんなとき、沖縄出身の牧師さんの言葉に出会った。
「たたかいに必ず勝つ方法がひとつある。それは、勝つまで続けることだ。」
そのときの私には、まさに神様の言葉だった。まさに、この言葉どおりと感じた。

「室蘭やるか!」

家に帰り、空室が埋まったときの利回りを計算してみた。
なんと、24パーセントをこえた。
10年でローンを組み、毎月12万円返しても、毎月18万円は手残りとなる計算。
満室にできれば、強力な金の卵を産むアパートとなる。

後述するが、ここで私たち夫婦は10を超える空室対策を考えた。
そして、物件取得を決心した。

次の週末、再び室蘭入り。
今度は、空室の部屋すべて見せてもらう。
巻尺とメモ帳を取り出し、いたるところの長さを測りまくった。
あきれてうでを組む不動産業者さん。怒ったように寸法を伝える私。
それを聞き、必死でメモを取る妻。

売主の交渉カードを得るため、得意の「見積もり取り」を行った。
近くのリフォーム業者に、壁・外廊下・内装のリフォーム費用を出してもらう。
リフォーム業者は、「いちげんさん」相手に、メチャクチャ高額な費用を見積もる。
しかし、かえっていいのだ。これを交渉カードに、1500万円の売値に
1250万円の指値をつけた。

しかし!ここで気になることが・・・

 
 <第七回> 「月極416円の駐車場!?」
 
このアパートのコンセプトを考えた。ずばり、

「自由生活アパート」

このアパートの家賃は、15000円!

この家賃だと・・・

・バイトしないで、大学生活をエンジョイできる!学問に打ち込みたい!サークルで楽しみたい!のんびり大学生活を送りたい!すべてOK!!

・ 大学生でも車が買える!

お金に縛られない、このような生活が送れます。

ということをウリに、アパートの魅力をたかめようとおもっていたが、そのためには、現在、アパートの付設駐車場になっている敷地を使わせてほしかった。

しかし、その敷地は現大家さんの家の敷地。
一応、口約束では貸してもいいといってくれているが、最悪「そんな約束はなかった。」といわれたらおしまい。おまけに、ただで使わせてもらっては、使用貸借となり、契約にはならない。

というわけで、司法書士&公証人の大先生達のアドバイスを得ながら行ったのは、

「少しでもお金をはらい、駐車場を借りるという契約にしてしまう。」

というもの。駐車場4台分の敷地、年間でなんと20000円という、バカにするなというくらいの安値ではあったが、現大家は、快く了承。ちゃんと契約書にも実印も
らっておくことを忘れなかった。

なんと、一台月極416円の激安駐車場の完成!?

 
 <第八回> 「うれしはずかし契約初体験。しかし、あとのお祭り大会?」
 
1500万円の物件に、1250万円で指値。ちょっと売主は気分が悪かったようだが、結局1400万円で受けていただく。いよいよ契約にこぎつける。

本業のお盆休みに、自分達で、少しでもアパートのリフォームをしたいと思い、仲介業者さんを急かせまくる。しかし、

「いやあ、うまくいっても(物件の引渡し)8月中じゃないですかあ〜。」

とのらりくらり。今となっては正しいペースだったのだが、その当時はあせってばかりいた。7月から、夫婦2人で綿密なリフォームの計画を立てていた。

フロなし9戸空きアパートが、シャワーブース4戸取り付けで、利回り20%超えの入居者・大家大喜びアパートに変身する試算。取らぬタヌキの何とやら・・・

お盆休み以外、まとまった休みがない私たちにとって、またとないチャンスを逃しつつある気持ちだった。

まあ、結局9月中旬となった引渡し。9月が誕生日だったので、誕生日プレゼントになった。(なってしまった・・・)前日に、売主の土地の共有分の方の委任状が揃わなかったとかで、正式な引渡しは9月下旬にずれ込むことになったが、まあ、あきらめと悟りの境地。

物件の引渡しは無事済んだ。

しかしまあ、物件引渡しになってやっと分かった真実に、私たちは、後の祭りという言葉の意味を実感することとなってしまった!

1 滞納者(というか)夜逃げ1戸あり。(ないって言っていたのに!あとの祭り)

2 家賃は毎月じゃなく、2〜3ヶ月まとめて持ってくる ならわし?!後の祭りU

3 屋根塗り替え時には、壁の塗り替えはやっていない!やったっていってたのに!後の祭りV

おまけに、物件引渡し時は、入居者が11戸になっている。

1 私・・・・・・9戸入居と思っている

2 大家・・・・11戸入居といっている

3 管理会社・・12戸入居といっている


 なんと、管理会社との間の電話で、

「いったい、このアパートの入居者の正確な人数は、だれが知っているんでしょう???」

と話し合う始末。

とほほ・・・

しかし、物件引渡しはゴールでなくスタート!


このアパートに人生をかけた私たちは、今やっとスタートラインに立てたのだ。

 
 <第九回> 「決意」
 
銀行の応接室で物件の引渡しが無事に終わった。
その足で、作業用品販売店に向かった。

あれこれならんでいる中で、黒と赤という、やる気が出そうな?
作業服を、妻と(結果的に)おそろいで購入。

大家になってはじめて買ったものは、作業服となった。
別に、妻とそう決めていたわけではないが、やはり、「自分達でやる!」という決意が、作業服を買わせようと思わせたのだろう。

今や私たちは、アパートの大家さん。
しかし、同時に借金を背負うローンソルジャー?
であった。

まず、私たちのアパートの課題を整理した。
このアパートの課題は、内装面で大きく6つ

内装面
1 風呂がない。
2 床が昭和を色濃く感じさせる、オレンジ色や赤色の花柄のビニール
3 壁の幅木がベラベラはがれ、壁紙も破れ、変色している。
4 水道の蛇口は1つ。洗濯機をつける給水もない。
5 天井蛍光灯のフード、ドアチャイムはヤニでべたべた茶色く変色している。
6 窓枠もしみがにじんでいる。

簡単に言えば、不便で古臭いのだ。

外装面
1 外廊下の天井ペンキがひどく剥げている。
2 階段フードに波板のビニールが張られ、バラック小屋のよう。
3 アパートの前が駐車場やゴミ箱で、印象が悪い。
4 共用電灯は4つあるうち3つが故障している。

簡単に言えば、印象が悪いのだ。

他にも、床にヒビがあったり、窓が割れていたり、壁に穴が開いていたり、かならず直さなくてはいけないものも数箇所もあった。
最初に依頼したリフォーム業者は、空室9戸で、なんと見積もり1000万円という途方もない金額であった。
たしかに、業者がそのように見積もりたくなる気分はわかった。

こまごまと管理が行き届いていないため、全部壊して直したい気分になるのだ。

ただ、前のオーナーさんは70歳夫婦という年配であり、すでにローン返済も終わっていることを考えると、管理状況が悪くても仕方がないという気はした。

だから安かったのだ。

当たり前だが、1400万円で買ったアパートに1000万円の巨費をつぎ込むことはできない。
まったく素人であるが、家賃15000円でなら入りたい人がいるはず。

素人で、新米で、兼業の32歳夫婦が、どこまでできるか!
アパートへの挑戦じゃない。

自分への挑戦だった。

「あのさ、せっかくがんばるんだがら、がんばった話を書いて本にしようよ。」

妻に言ったのは、本にできるぐらいがんばろう!
そう自分で覚悟を決めるためだった。

 
 <第十回> 「DIY大家さん」目指して」
 
いよいよ、内装工事に取り掛かる、予算は1部屋25万円。
当然、すべて自分達でやるのだ。新米で、兼業で、素人の大家の挑戦。

前回でも書いたが、内装面の問題は、以下6つ。

内装面
1 風呂がない。
  →シャワーブースを取り付ける!?(できるのか不安・・・)

2 床が、昭和を色濃く感じさせる、オレンジ色や赤色の花柄のビニール
  →タイルカーペットと、クッションフロア貼り付けでイメージアップ!
   (カーペットが9000円、クッションフロア4000円分)

3 壁の幅木がベラベラはがれ、壁紙も破れ、変色している。
  →レンガ柄の壁紙を、腰壁風?に下部のみ貼る。(13uで9000円位)

4 水道の蛇口は1つ。洗濯機をつける給水もない。
  →蛇口取替え(4500円位。けっこうしました)

5 天井蛍光灯のフード、ドアチャイムはヤニでべたべた茶色く変色している。
  →リモコンシーリングライトに取替え(ホームセンターで4900円!)

6 窓枠も、しみがにじんでいる。
  →オイルステインで再塗装

その他、ヤニとほこりでまっ茶色にくすんだドアチャイム(ドア茶イム???)の交換など、細かい費用とあわせると、1部屋あたり、25万円の予算となった。

これらすべて、自分達でDIY。

しかし、シャワーブースをつけるのに、一抹というか、ニ抹も三抹も不安だった。

しかし、不安に思っているのは、やっていないからだ。

うまくいくかどうか、考えてみても不安はなくならない。
インターネットで、40%引き、17万円で売ってくれるところを発見!さっそく注文!

ところが部材が来てみると・・・

 
 <第十一回> 「失敗だらけのセルフリフォーム」
 
シャワーブースを自分で取り付け。もし、できれば、家賃7000円アップは堅かった。
大体、家賃7000円アップしても22000円の家賃なのだから、競争力は充分。
貧乏学生にうってつけのアパートになるはず。

シャワーブース部材は17万円で仕入れたが、2年で採算がとれる計算。

しかし、不安が付きまとう。本当にできるのだろうか?つい注文が先送りになってしまう。

このままではいけない!

思い切って部材を注文し、届いたものを運び入れるとき、いやな予感。
何となく柱が長いではないか。

柱が、天井につっかかり、まっすぐ立てられないのである。

泊りがけで、妻と2人でシャワーブース取り付けに来ていた。
それなのに、作業ができない。外寸を確認し忘れていたのだ。私の単純ミス。

急ぎ、部材の仕入先に電話し対応を相談する。

先方はプロなので、部材を切って使え、という。私もやってみてわかったのだが、何の傷もない新品を丸ノコで切断、というのは、かなり勇気がいる作業だ。

思わずしり込みしてしまう。

先にアパートの部屋の納戸を壊し、スペースを作ることにする。
丸ノコを使うのですら、初めての私が、納戸の破壊作業を行う。

シャー!!!というものすごい音。
切れる石膏ボードからでる粉と破片が、頭、顔はもちろん、鼻の穴、耳の奥までザリザリにする。ドア、壁、みんなボロボロになっていく。
これでシャワーブースつけられなかったら、この部屋は貸せない。勝負だった。

騒音がひどいので、夜9時すぎには作業中断。

お風呂に行く。目も眉毛もザリザリ。時々ひどいせきが出る。
風呂上り、妻と飲みに行っても、あまりに疲れ、2杯のビールで眠くなってしまう。
シャワーブース17万円も出して買ったのに、うまくいかなかったのだ。

というか、このアパート買う計画自体の危機だった。
このアパート管理会社からは、早くシャワーブースつけてくれ、とせがまれていて、今日付けると約束してしまっていた。それなのにうまく付けられない。

泊り込みなので、冬の北海道アパートの暖房もない空室に妻と帰る。

資材がいっぱいで、足の踏み場がない倉庫のような部屋に布団スペースを無理に作って就寝。思わず考えた。

「できればやめたいな・・・。」

「やっちまったな・・・。」

「・・・。」

「17万円の失敗か・・・。」

そんなとき、ふと、脱ぎ捨てた作業服が見えた。カーテンもない部屋の中で、月明かりにうつっていた。

「そういえば、この作業服買ったとき、本当にリフォームやりたかったんだよな。」

早くリフォームしたくて、売買急ぐよう、不動産業者を何度も何度もせっつき、いらだっていたほどだった。そんな自分があったのだ。

悲しいやら、空しいやら、バカバカしいやら、色んな気持ちが交錯し、しまいには切なくなり、涙が出てきた。

しかし、なぜか泣いたら踏ん切りがついた。

やれるとこまでやってやる!

部材だってぶった切って、わっと作って、とにかく完成させてやる!

もしシャワーブース作り失敗しても、どのみち、もう失敗しているのだ。

 
 <第十二回> 「1台の冷蔵庫と電子レンジから」
 
間違って買ってしまった17万円のシャワーユニット。
しかし、売主に連絡し、対策を聞く。

「いやあ、寸法が合わないなら上部を切ってしまって・・・」
「えっ、切ってもだいじょうぶですか?」
「うちらは、そういう工事だいぶやってますんでね。(おいおい)」

もう、迷いはしなかった。
切断砥石をつけた丸ノコがギャーンと音を立てる。
ステンレスの支柱に当てた瞬間、ものすごい火花。

ビビル。

もうすごい勢いで丸ノコを操る。
しかし、丸ノコで初めて切るものが、壁とか、ステンレスという、ちょっと生活離れしたものなのが、自分でもおかしい。

見事切断!天井ぴったりに収まる。あとは設計図とにらめっこ。

「この説明書ずいぶん不親切だよね〜。」

と妻。当たり前だ。初めて作る人用にかかれてはいないのだから・・・

みようみまねでかたちが仕上がっていく。
壁をつけたらもう日曜日の夕暮れ。明日は本業がある。

あせるが完成期日がせまっていた。やるしかない。

コーキングをうつ。
もう全身真っ白になりながらの塗布作業。

コーキングは服につけるとまったく落ちない。
(当たり前だ。水で溶けるとコーキングにならない)。
ズボン1本廃棄・・・・。

新品っぽかった作業服も、見事に玄人様式に汚れた。
完成するまで6時間かかったが、予想以上の早さであった。(玄人で4時間といわれていた)

完成してみると、それはもうどこから見ても、プロが作ったとしか思えない出来栄え。
無意味に出たり入ったりしてよろこぶ。

この部屋は、このアパート最高の部屋となった。
備え付ける電化製品も運び入れる。

作業道具を片付け、水を落とし、ブレーカーを切ろうとしたとき、
ふと、冷蔵庫や電子レンジが見えた。

この電子レンジと冷蔵庫は、私が大学進学の際、両親が買ってくれたものだ。
10年間使い続け、結婚を機に廃棄するところを、アパートに持ってきたものだった。

考えてみたら、この電化製品が私のアパート経営の発端だった。
大学2浪もしたのに、私にこれだけそろえてくれた、本当はけちな両親。

一度捨てたブレーキの壊れた自転車も、ごみステーションから拾って戻してしまうほどの両親が、妹と私のために2台づつ新品の電化製品をそろえてくれたのだ。

買い物にいっしょに行き、その様子を見たとき、申し訳ない気持ちでいっぱいになり、

「なぜ、何でも買わないといけないのか。なんでこんなにお金がかかるのか。」

そう思って悔しかった。

敷金とか、そんなものもなし。電化製品もそろっている。布団さえあれば、即入居できる。そんな親孝行なアパートはないものか。
できたら、きっとそのアパートは成功する。そう思ったのが、アパートをやりたいと思ったきっかけだった。

この部屋で寝泊りし、トイレ掃除をいやいややり、生まれて初めての壁紙・クッションフロア・タイルカーペット付けを行った。妻にけんかをふっかけたのも、妻と酔っ払って深夜帰ってくるのもこの部屋だった。

正直、私の電化製品は古いのだが、そのまま、この部屋においておくことにした。
この部屋で私たちの仕事は始まったのだった。

 
 <第十三回> 「大家さんには負けたよ」
 
 私たちの15000円アパートは、シャワーブースの給排水は業者にお願いすることとなった。管理会社に給湯器を調べてもらい、今の給湯器ではシャワーに回す出力がない、ということになり、ついでに給排水もお願いすることになったのだ。

 この社長がまた、頼れる職人気質の方。
「こっちも中途半端な仕事したくなくてさ。」
が度々会話に出てくる。私たちのつくったシャワーブースも隣の台所ぶった切って、排水工事をしてくれた。11万円もする新型の給湯器込みで15万円。

 さらに、無理やりつけたユニットバスも、

「傾いてこんなになってたさ。」
といいつつ、みんな直した上、安い部材で壁も作ってくれた。

「いやあ、大工までやるんですね。」
と思わず言うと、

「でも、大家さんには負けるよ。ペンキやって、シャワー作って、壁貼って・・・」

プロに、そういわれて、本当にうれしかった。

ただ無我夢中でやったりフォームは、18戸中9戸に及び、私たちのリフォームした部屋には、すでに社会人6人が住んでるのである。

 今回のリフォームで、空室はすべてリフォーム完了。引き続き外装工事へ。

外装のポイントは4つ。
(1) 外廊下の天井がペラペラペンキが剥げ、風に揺れている。
(2) 消火器の格納庫がボロボロになり今にも消火器が落ちてきそう。
(3) トタン張りで、バラック風。
(4) アパート名からサビが流れ、茶色のしみが長々とたれている。

などなど。
(1) に対して
 これは、、ペンキを自分で塗りなおした。しかし、天井の塗りはつらい。寒い中、首が痛くなりながらの作業。水のような鼻水が止まらない。ぽたぽた落ちてくるペンキに、私の作業服は見事にペンキ屋さん仕様に。

 作業終わって出来栄えをアパートからちょっとはなれて見ていると
「いやあ、ペンキ屋さんもたいへんだねえ。」
という声。通りがかりのおばあさんが声をかけてくれたのだ。
「いやあ、この時期は、寒さでペンキ乾くの遅くてね・・・。」
「ああ、そう。」
という感じで、完璧なペンキ屋ぶり?だった。

(2) (3)(4)は、以前にも触れたとおり。とくに、ラティスとレンガはオススメ。素人でも、思った以上のできばえ。ちょっと曲がってもそれがまた、いい味に。私たちは、バラック上の波板トタンの上に、ラティスを貼り付け、そこに、ツタのイミテーションを這わせている。さらに、そのツタを、これまた私達がつけた街燈に絡ませている。あれ?と思わず足を止める洋風ぶり。15000円アパートは思えない仕上がりに、うっとりうっとり。

 さらに、入居者のために、外廊下の照明も新調した。センサーつきで近づくと点灯してくれる。

 さらに、ブリックタイルを外階段に貼り付けた。これもイタリア製!街燈もイタリア製!
(貼り付けたとき、モルタルが手につき、ものすごい肌荒れに・・・。だって、手の甲同士をこするとざらざら音がするんだからビックリ!)

 そんな感じで苦労したが、ちょいと目を引くアパートに変身したのだった。

 
 <最終回> 「おれの目的は、不動産経営でお金を稼ぐこと??」
 
ボロアパート大家として初めて迎える3月4月。
まさに「フィーバー」だった。

本業も年度末でめちゃくちゃないそがしさだったが、アパートの退去後のリフォーム全力でやった。

壁紙、水道蛇口、クッションフロア、タイルカーペット、リモコンインバーターシーリングライト、ドアチャイムにいたるまで取り替えた。
運搬トラックにオーライをかけながら、ぞくぞくと運び入れられる冷蔵庫洗濯機電子レンジ。
シャワーブース付きの部屋は、つくれば決まるという感じで、結局3戸改装。投資額はかかったが、利回りは19%にまで高まった。

大家は、コーディネータでもあることが分かった。
不動産業者のMさん、管理のSさん、客付けの不動産業者さんたち、大学生協、ガス会社、○プロ設備さん、司法書士のE先生、これだけの人たちに支えられて今の私たちのアパートがある。

先日メルマガを発行申請した。もうかるアパートを作ろう!もうかるアパートを手に入れよう!
そんなことを書いているうちに、おれは、もうかることを目的にアパートしていたのだろうか?と思い始めた。

ブレーキが壊れ私が捨てた自転車を、ごみ捨て場から戻してくるほどの、けちな両親。
そんな親が、妹のものとあわせ、2つずつ電子レンジ洗濯機冷蔵庫と買う姿を見て、

「おれはぜったい、安く入れる親孝行なアパートをつくってやる。」

そう思ったことを忘れている自分に気づいた。
そしてもうひとつ。私たちはアパートで成功したら夢があった。
それは、人気あるアパートをつくるノウハウやテクニックを学びあう、「仲間」をつくることだった。

私たち夫婦は、293日間でアパート5棟のオーナーとなった。
そんな成功に酔っていた自分。私たちは1人で成功したのだろうか?

そうではない。たくさんの人の知恵をかり、教え学びながらここまできた。

だから、私はメルマガのタイトル、目的も変えた。

私のだすメルマガは 「「人気アパートをつくる会」で お金と仕事からの自由を!」

目的は、アパートを入居者も大家もうれしい「人気アパート」にするための学びあいの場をつくることと、大家になりたい人たちに、大家になるまでのアシストをすることだ。

いま、「アパートの個性化から、ブランド化へ」という作戦をねっている。この不動産投資道場に書かせていただくのは最後だが、アパートを魅力あるものにする努力は終らない。

こんな素人新米兼業サラリーマンの足跡を読んでくださる方がいたと思うと、心からうれしく、終るのがちょっとせつない。でも、きっとどこかで、再び「仲間」になれる日があることを信じている。

不動産投資道場を運営する方々、集うみなさん、不動産投資道場は、私にとって最高の道場です。

 



 
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