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『脱サラリーマン「竹之内」の専業大家までの道』
竹之内」の不動産投資経験記
「竹之内」の不動産投資奮闘記
竹之内淳は、メーカでエンジニアをしていた35歳。脱サラリーマン大家。父の他界をきっかけに、全くの素人からアパート経営をスタート。苦労しながらも家族3人で協力し、2棟33戸のマンションを持つに至りました。
その後、脱サラリーマン、法人成りなどを経験し、今は次の買い時に備えて、財務体質の改善を進めています。今だから打ち明けられる我が家の惨状から、アパート経営スタート、財務のV字回復を奮闘記にまとめました。
 <第一回> 「私は脱サラ大家です」
 
みなさん、はじめまして。

サラリーマンを辞めて早2年。脱サラリーマン大家の竹之内淳です。
今回ご縁があって、私の体験をお話させていただくことになりました。
アパート経営や建築について全くの素人だった私が、痛い目に会いながら、何とか軌道に乗りつつある大家のストーリーを楽しんでいただければうれしいです。
当初は相談する人もいなくて苦労しましたので、この体験記をきっかけにみなさんと情報交換や相談できるような人の輪が広がればと思います。

最初に、所有している物件の概要を説明しておきます。

物件はJR川崎駅(神奈川県)から徒歩15分、182坪の土地にマンション2棟33戸を2000年、2002年に建てました。部屋はほとんどがシングル系(1K中心)で、それを、母・弟・私、家族3人で切り盛りしています。

一般的には駅徒歩15分の立地ですと空室が心配なところですが、
大学時代の優秀な後輩に設計をお願いした甲斐あって、経営は比較的順調です。
彼には足を向けて寝られません。感謝、感謝です。

今思えば、友人隣人の助け無しではとてもうまくゆかなかったと思います。
アパート経営は孤独な決断の連続ですので、横のつながりが大切だなぁと思いました。
みなさんもそう思いませんか?

ちょっと脱線しましたが、2棟の物件「incube」と「inzebra」の概要を説明します。
ちなみにこの建物は私が一棟目であるincubeを、弟が二棟目のinzebraを名づけました。

incubeは、本作品(彼はこう呼びます)を設計した田中俊行氏の作品コンセプト『母胎重箱』を意識しながら、そのニュアンスや外観、音の響きを考慮しました。

inzebraは、2作品の一貫性や外観を意識したと思います。
それと、『母胎重箱』とは地球上で最も安全で心地よい場所としての母胎、幾重にも重なり合う母胎の塊がやがて箱に至ったという、本作品を貫く概念です。
基礎、構造、間取り、設備、材質、色彩。全てがこの概念で貫かれています。

「incube」
JR川崎駅徒歩15分
鉄骨造陸屋根3階建て
2000年8月竣工
1K×12戸、1DK×3戸
賃料平均8万円くらい
建築費8300万円(消費税、諸経費含まず)
建築費ベースで一部屋あたり550万円を目標に建設。
(目標の設定については後日メルマガにて)

「inzebra」
JR川崎駅徒歩15分
鉄筋コンクリート造陸屋根3階建て
2002年5月竣工
1K×18戸
賃料平均8万円くらい
建築費9100万円(消費税、諸経費含まず)後からちょっと追加が発生しましたが…。
建築費ベースで一部屋あたり500万円を目標に建設。
(目標の設定については後日メルマガにて)

一応、とあるサイトなどにも載りましたので、そちらもチェックしてみてください。
概要がコンパクトにまとまっています。
URL http://www.re-port.net/report/?number=3993

サラリーマンを2年前に辞め、現在は専業の大家をやっています。
日々の生活は物件の管理…というより、勉強です。
ファイナンシャル・プランナー、簿記2級、宅建。当初はこの程度あれば…などと甘いことを考えていましたが、
勉強するほどに大家としての力不足に愕然としました。
賃料下落、金利上昇にどのように備えるのか?
それ以前にどの程度賃料が下落するのか?

いつから金利は上昇するのか?不動産の価格は?

……答えられないことばかりです。

これが事業会社ならば、5年後にこの会社が存在しているか…。
やっと最近、不安から開放されつつあります。
何をすべきかが分ってきたからです。

そして、今、私が参加している不動産投資の勉強会にいらっしゃる大先輩達のように、楽しみながら不動産投資ができるようになることが私の当面の目標です。

父が無くなり相続を受けた土地を引き継ぐことが不動産経営を検討したきっかけでした。

そのあたりについては、次回お話します。

 
 <第二回> 「私は脱サラ大家です」
 
こんにちは、竹之内です。
今回はアパート経営を始めるきっかけ、についてお話しさせて下さい。

それは、長い闘病生活の末、父が他界した数ヶ月後のこと。
相続の時です。全てを管理していた父を失った家族は資産状況や相続について全く何も知りませんでした。そろそろ相続をと思い、調べ始めてみると…。
家族が知らなかった借金千数百万円。登記上差し押さえられた家と土地。
どこを探しても見当たらない現金。
そして、180坪の土地にかかる相続税とそれを現金で納めなければならない事実。
(お父さん、こんなところで竹ノ内家の内情を暴露してしまった親不孝な息子をお許しください!)

調べるほどに厳しい状況が判明してゆきました。

父親を失ったばかりなのに、この土地もか!!と憤懣やるせない気持ちでした。

幾日か呆然としましたが、嘆いても始まらない!
土地の半分は売る覚悟をしよう!そして、そうならない為にベストを尽くそう!と、この状況を受け入れることにしました。

腹をくくって進み始めると事態が急速に好転しました。不思議なものですね。
会社を休んだりして、労力も時間も相当に費やしましたが、結局、私の貯蓄1000万円ちょっとを失っただけで、相続も借金も全て片がつきました。
せっかく貯めた預金(1/3は株で儲けた)を失ったのは痛かったけど、土地を半分失うことからすれば大満足の結果でした。
借金や相続の過程で家族の知られざる父の姿に触れることもできましたし…。

(余談)みなさん、必ず、登記は変更しましょうね。祖母から父への名義変更をしなかったら大変なことになってしまいました。お陰で、司法書士の先生に作っていただいた先祖代々の家系図が手に入りましたが。(笑)

この相続をきっかけに、ある気持ちが芽生えました。
土地を守るために家族がいるのではない。土地は家族の幸せの為にある。
その為に、自分たちで使わない土地は他の方のために役立てたい。
そして、その価値の代価として頂く家賃収益で家族の幸せに貢献しようと。
これが、アパート経営を本格的に始めようと思ったきっかけです。

もちろん、この時点で私はまだサラリーマンでしたし、不動産経営については無知極まる状況でした。
ただ、幸い祖父母の代から小さなアパートや駐車場を経営していましたので、スタートさえしてしまえば、後は何とかなるだろうと家族も私も安易な気持ちでした。
なんにも知らないって…、怖いことですね。

こう決心してから、どう計画に進めていったのか、次回以降でお話ししていきたいと思います。

 
 <第三回> 「まんが本で学ぶ不動産経営」
 
こんにちは、竹之内です。

前回話しましたとおり、本格的にアパート経営をスタートする決断をしました。
今思えば、すごく安易な気持ちでしたが・・・

決心後まず最初に、ま〜たく何の知識も持ち合わせていなかった私が、向かった先は本屋さんでした。とにかく、情報収集だ!ということでいざ本屋さんへ。
しばし立ち読みをしましたが、読んでもさっぱり?
わかるレベルをということで辿りついたのが、「マンガで…」という本でした。
題名の通り、マンガで家を建てるまでを説明した本…というより、本当にマンガでした。

ふむふむ、基礎には「布基礎」と「べた基礎」があるんだな!…という超初心者レベルで一冊目を読破。引き続き、なるべく絵の多い本を選んで二冊目を読破。
もう、すっかり建築についてわかった気分になってしまい、住宅展示場へ見積をもらいに。

私 :「すみません、アパートを建てたいんですけど、カタログと見積もりを頂けます?」
半ズボンの私を見た営業マン:「…。」

と、こんな具合でしたが、本人は着々と前進しているつもり…。
ところがその直後、難問に遭遇。

営業マン :「アパートタイプですと軽量鉄骨造の○○という商品が…。
マンションのタイプですと重量鉄骨の○○、こちらは自由設計が可能な…。」
私 :「…?」(うなずくだけ)
営業マン :「ご希望の間取りはワンケーでしょうか。それともファミリータイプをご希望ですか。」
私 :「…?」(ワンケーってなに?)
(この時私は、“1K”が1部屋+台所を意味することを知りませんでした。恥ずかしい話なんですが…。)

こんな感じで、最初の問題が発生。
最初の問題:どんな建物を建てたら良いかわからない!
つまり、どんな見積が欲しいのか伝えられない…。

意気込んで、住宅展示場へ乗り込んでみたが、見積を要求するに至らず、撃沈。
結局その日は、パンフレットや資料、何枚かの名刺を頂いて家へ帰りました。

ちょっと悔しさをにじませながら帰宅。
家で資料を見ながら、だんだと…エンジニア魂がメラメラと燃え盛りました。
会社でトラブル対応やコストダウンばかりやっていたせいか、壁にぶちあたると俄然やる気が出てしまうのです!

まずは、情報を整理して、戦略を立てなければと思いました。

儲かる建物を安く手に入れるためには
 @要求される機能を明確にし、なるべく限定する(余計な機能を外す)
 A必要機能をなるべくたくさんの選択肢から選ぶ
 B交渉に有利な状況を作り上げ、交渉を有利に進める
とエンジニアの仕事手順を確認しつつ、当面の課題を設定。

解決すべき最初の課題は
課題@:儲かるための建物にはどのような機能が必要か?

しめしめ、いつもの仕事と同じじゃんと思ったのもここまで。

余りにも基礎的な知識が欠如していて、「要求機能の明確化」にたどり着けません。

本、先日頂いた資料、インターネット、友人、知人。思いつく情報源には一通りアクセスしました。ご飯を食べながら、散歩、トイレ、風呂、寝る前…。日々の生活の合間はいつでもこのことを考えていました。
(この時、アドバイスをもらえる人が極端に少ないことを自覚。後に不動産経営の勉強会に参加するきっかけになりました。)

この課題を解かなければ明日は来ないぞという気持ちで幾日か過ごしましたある日。
風呂場ではっと思いました。

「欲しいのは建物じゃない。収益だ!」

つまり、建物の見積を要求するのではなく、収益を最大化する事業計画に付随してその建物の見積と要求すれば、話は簡単です。
そうすれば、建物の機能・仕様は各社が最適なもので見積もってくれるはずだからです。

見積依頼の手順をまとめると
 @ この土地の有効活用として、利益を最大化したい
 A そのために必要な建物とその見積もりを頂きたい
という、シンプルな形になります。

早速、次の土日からこのスタイルで見積もりを依頼しまくりました。

私 :「この土地を活用して収益を最大化したいと考えております。つきましては、収益計画とその実現の為の建物及びその見積もりを頂きたい。」
営業マン :「アパートタイプですと軽量鉄骨造の○○という商品が…。マンションのタイプですと重量鉄骨の○○、こちらは自由設計が可能な…。どのようなタイプでお見積もりお見積もり致しましょうか?」
私 :「マンション・アパートの別、構造、商品などは一切問いません。利益を最大化するために、貴社商品を最適な形でご提案いただけますか?」

という感じです。
ちなみに、この時も半ズボンでした。(笑)

こんな感じで視線を変え、建築業界の知識がなかった私は聖域無しで見積もりをお願いしました。

どんな提案が出てきたのか??
そのあたりは次回で話ししたいと思います。
では、また!!

 
 <第四回> 「設計のキーコンセプトを決める!」
 
こんにちは、竹之内です。

前回、ご説明したとおり、私は沢山の会社に提案依頼をお願いしました。
鉄骨系、木造系大手ハウスメーカー、中小ハウスメーカー、輸入住宅、地元工務店、特殊な工法を手がける工務店など。

調べているうちに、九州では安価な工法を持っている建設会社が多いことがわかり、九州の会社やそのライセンスを受けて関東で営業している会社などにも問合せしました。(結局、地域によるコスト差と過度の規格化で使えませんでした。)

こうして、事業計画書と見積もりが徐々に集まってくると、次の傾向がわかりました。

  ・1Kを中心にした計画が多い
  ・2階建て(木造・軽量鉄骨)と3階建て(重量鉄骨・鉄筋コンクリート)は
   バラバラ
  ・家賃収入の査定・空室の数字は各社ばらばら

これらをまとめていて、次の課題が判明しました。

課題A:正しい家賃の査定額は?又は基準は?

不当に高い家賃設定で収支計画を立てれば、当然儲かる計画に見えます。
一方で、堅実そうな家賃査定で見積もって頂いている会社もありました。
残念ながら、正しい家賃設定かどうか全く判断がつきません。

しばらく、見積の分析をしてみると「賃料保証」という書類を添付している会社が数社ありました。
「保証してくれる家賃設定ならば、不当に高い査定はできないだろうし、最悪、この会社で家賃保証をお願いすればいいな」と考え、この会社の賃料保証見積を収益計画の根拠にすることにしました。指定した会社は川崎駅前にある大手仲介会社の川崎店です。

まだ見積を頂いていない会社と2次交渉をお願いしようと考えている会社に連絡し、賃料査定はこの会社さんの賃料保証を前提にして欲しい旨をお願いしました。

収益をグラフ化などして分析していると、次の問題が…。

課題B :建築してから何年目を収益の評価日にするか?

見積を比較、淘汰してゆくと最終的に2つの見積パターンが残りました。
 @軽量鉄骨造2階建て、12戸。
   規格品をそのまま用い、最も安価なアパートタイプ
 A重量鉄骨造3階建ての自由設計で、
   部屋数を18戸まで増やしたマンションタイプ

この2つは全く異なったパフォーマンスで

 @投資コストを最小限に抑え、数年で損益分岐をむかえ、
   着実に利益を上げる
 A投資コストは大きいが、損益分岐点を超えると、
   毎年のリターンが大きい

10年で評価すると前者。15年で評価すると後者が良いという結果になります。

つまり、いつの時点で評価するかによって最適な選択肢が違ってきます…。

どうしようかなぁ〜といろいろな資料をチェックしていると。
最初に買った「マンガで…」に次のような記載がありました。

家を建てるための3つの方法
  @ハウスメーカー
  A工務店
  B建築士

そういえばまだ、建築士にはアクセスしていないなぁ…。
このとき、大学時代の後輩の顔が思い浮かびました。
以前、彼の設計したビルを見学した際、とても良い設計・デザインだったので、「この手があったか!」と思わずほくそえんでしまいました。

しかし、彼は大坂に…。
「やっぱ、世の中そんなにうまくいかないよなぁ。」と思いながら彼に連絡。
とりあえず、うまいものでも食べに大阪まで行くか!と決断して、大阪へ。

数年ぶりに彼に会いました。
再会の第一印象は「なんでこいつのワイシャツは襟が無いんだろう?」(笑)
(すっかり、アパート経営のことを忘れて、お遊びモードでした。)

後輩だからといってさすがに無理は言えないなと、あきらめ加減で事情を説明していると。
「是非、設計させて欲しい」という回答。
この瞬間、InCube計画 最初の骨格が決まりました。

  設計 : 田中俊行

自分でも不思議ですが、建物の施工にはたくさんの見積を比較して決めようとしているのに、設計士は一発で決定。

上手に説明できませんが、決断は肌の感覚でするものだと思うからです。
いくら緻密な計算をしても、予定通り計画は進みません。
なるべく、数字にできることは計算して、予想できることは予想する。
しかし、それらが万能でないことを踏まえて、最終決断すべきだと…。
最後は肌の感覚が一番信用できると…私は勝手に解釈しています。

ここから本格的に計画が前進し始めました。

私から彼の設計に要求したのは、「収益の最大化」「住まれる方の安全、安心」の2点です。
逆にそれ以外は全て思うとおりにやって欲しい旨を説明しました。
以前、彼の作品を見ていた私は「素人が個別具体的な指示を出すより、彼ほどの設計者全てのバランスを考慮して設計した方が絶対に良い建物になるはずだ!」と強く思ったからです。

それと、新しい要求機能「住まれる方の安全、安心」は各社の見積もりを分析してゆくうちに、絶対に必要な機能だと思い始めました。

その理由は次の通りです。
  ・収益計画では最低でも20年以上、機能及び賃貸物件としての
   競争力が維持できなければ机上の空論になってしまうこと
  ・地震、火災のリスク回避には建物の耐震、耐火性能向上が
   前提となること
  ・ストーカー、窃盗など防犯が10年後の賃貸物件には
   必須機能と予想すること
  ・お客様不在のビジネスには長期的な反映など在りえないこと
  ・自分が住まないという理由で「安全、安心」をないがしろにする
   業者・オーナーが多いこと(当たり前の機能だと思うが、
   明確に表現することにより担保する意味)

数週間後。我が家で基本設計が示されました。

立方体の外観。質感のある一枚壁。
対比して小さなエントランス。共有部分とベランダのルーバー。
一筆描きできそうなシンプルなデザインで、マンションというより、要塞に近い印象です。

今回はここまでにしておきます。
計画をとりまとめるには予想以上に時間がかかります。
次回は工務店選びとコストダウンについて触れたいと思います。

では、またっ。

 
 <第五回> 「無謀な目標設定」
 
こんにちは、竹之内です。
今回は工務店選びとコストダウンについてお話させてください。

前回、大阪にいる後輩が設計を引き受けてくれることになり、彼の基本プランの第一印象までお話しました。

視覚的には「外から守られている」又は「閉じ込められている」という印象の建物ですこれは完成してからもほとんどの方が同じ印象でした。
表現としては要塞・牢獄が多く、その評価も良いという方とそうでない方、両極端でした。
当時はそこまで考えられませんでしたが、今から考えるとこれが正解だったと思います。
なぜなら、他の建物と同じ土俵で比較できるレベルなら、集客に相当苦労しているはずだからです。入居される方に気に入って頂ければ、それが全てだと思います。
(もちろん、私も大変気に入っておりますが…。)

一方、収益計画としては「おもしろい!」という印象です。
うまくゆけば通常のパフォーマンスを大きく上回るだろうし、逆に大きなリスクも内在しているプランだと思いました。

プロジェクトマネージャーの腕の見せ所です。再び、やる気がメラメラ〜っと、燃え上がっていました。(星飛馬状態!)

そして、このプランのパフォーマンスを決するのは一点。
「建築コスト」だと思いました。

案の定、最初の見積もりは1億2000万円。1坪、約73万円。
想定していたのが、重量鉄骨3階建てのケースで坪あたり40〜55万円の範囲。
高くても坪60万円でしたのでちょっとあせりました。予想の範囲を遥かに超えていました。
(今から思えば、大変凝った設計でしたから、これでも安くして頂いたのかも知れません。)

この頃には、たくさんの見積をチェックしていましたので、賃料の査定や建設単価などについて多少の相場観が養われてきた…という、つもりでした。この間違った認識で、たどり着いた目標設定は

1Kタイプの場合、一部屋辺りの建築費 500〜550万円が目安だと思いましたので、今回のケースで引き直すと
15戸×500万円(〜550万円)=7500万円(〜8250万円)
建築費の目標を7500万円。最低でも8250万円。
建築単価なら坪45万円目標。最低でも50万円。
…と設定。

今だから告白しますが、この目標 坪45万円はいくらなんでも無理があります。
地盤改良、太い鉄骨、特殊な外装材、ルーバーなどの特殊工作物、設計士のコダワリ…。
今までの見積は利回りを追求したチープな建物で、その基準をベースにこの特殊な建物の建築費を計算したら目標に到達できるはずがありません。
素人だからこそできる無謀な目標設定。失敗の一言に尽きると思います。(反省)
実際、火災保険査定では、建設費8300万円に対し、評価額1億2000万円でした…。
その営業マン曰く。「そうとう値切りましたね…。」

このような私に付き合って頂いた、設計の田中くん、工務店及びそのスタッフの方々。
この場を借りて、お詫びとお礼を申し上げます。
お世話をお掛けしました。そして、お付き合い頂きありがとうございました。

参考までに、計算に用いた数字は次の通りです。
鉄骨造陸屋根3階建て
1K×12戸、1DK×3戸
専有面積 1K:8坪弱  1DK:10坪弱
延床面積 165坪
一部屋辺り延床面積 11坪(=165坪/15戸)

ここに、無謀ともいえる金額での建築費目標を立て、建築業者捜しが始まったわけです。
どうなることやら・・・

では、また。

 
 <第六回> 「見積すら手に入らない・・・」
 
こんにちは、竹之内です。

前回は、素人の思いこみで相当安い総建築費を目標設定にしてしまったというお話させていただきました。
その、目標に向かって、工務店選びとその見積交渉についてお話しようかと思います。

基本設計の状態で最初に頂いた見積1億2000万円。
私が設定した目標7500万円。
いよいよ、この無謀なコストダウン計画が始まりました。

いつもの様にシナリオも無いまま、地元の工務店訪問を開始。
私はいつもの様に半ズボン。彼はいつもの様に襟なしのワイシャツ姿。
当たり前のことですが、半ズボンは見積依頼に適さない服装ですから止めた方がいいです。
襟なしのワイシャツは芸術家っぽくていいですが、半ズボンは1億円前後の見積もりをお願いするのに全く適さない服装だと断言できます。(笑)
後日、設計してくれた田中くんからも「恥ずかしかった…」と告白されてしまいました。
最近は私も進化しましたので、交渉ごとにはネクタイを締めて行きます。

早速、脱線してしまいました。本題にもどりますね。

この時何軒か訪問しましたが、見積もりすらしてもらえない…。という、寂しい結果が…。
いきなり坪40万円代前半をターゲットプライスだと明言したのがいけなかったのか、半ズボンがいけなかったのか分かりませんが、丁寧に見積もり拒否され続けました。
この何件かは地元の有力工務店でしたので、そこで見積もりを拒否されたのは結構な痛手でした。やっぱり、建築工事は地元の会社が良いと思います。土地の事情もご存知ですし、後々のメンテナンスも近ければ対応も迅速ですから。

出だしからつまずいてしまいました。
この時、あきらめなければ絶対にできる!という根拠なき確信と目標設定に対する柔軟さが欠けていたと思います。
相続でもそうだったように、必ず道は開ける…という成功体験が災いしました。
(人間思い込みも大事ですが、柔軟な姿勢が大切な時もありますね。)

強い思いはあったものの、目標金額までたどりつける道筋が全く見えない日々。
しばらく、作戦を練っていましたが、考えてばかりでは計画が前に進みません。

そこで、奥の手。「下手な鉄砲、数撃てば当たる」作戦を実行することにしました。
すごく原始的ですが、インターネットで地域の建設業組合のリストを入手。
片っ端から電話して、見積もってもらう…というより、見積もってもらえる会社を探すという感じです。
およそ100社に電話をかけました。

最初はシドロモドロでしたが、さすがに途中からは手馴れた感じになってきました。

私 :「わたくし、川崎で大家業を営んでおります竹之内と申します。
今般、新しくマンションを建築することになりましたので、そのお見積もりをと思いご連絡させて頂きました。」

いきなりターゲットプライスを言うと見積してもらえないので、目標をぼやかして話を進める…など、やや姑息なテクニックも身につけました。

それでも、100社に声を掛け、実際に見積もってくれたのは数社。
という寂しい状況でした。

逆の立場で考えれば、当然の結果だったと思います。
当時は積算・見積もり作業に費やす膨大な作業量を知りませんでしたから、安易に見積もりをお願いしてしまいました。
きちっとした見積もりになると数百・数千項目の部品や作業を抽出して、価格を積算しますので、すごく大変な作業です。
一方で見積が無ければ、契約できませんので意外と見積を上手にしていただくのは難しいのかも知れませんね。

見積もりのチェック&コストダウン交渉が、本当の勝負です。
がんばります!

では!

 
 <第七回> 「コストダウンのシナリオ」
 
こんにちは、竹之内です。

数社から見積を手に入れることができました。
また、100社電話作戦で、工務店との会話もスムーズになってきました。
こんな感じで・・・。

●Before
工務店 : 「建設地の地盤は如何でしょうか?」
私 : 「そういえば、近所で隣の建設工事中に傾いてしまった家がありました。」
工務店 : 「N値はどの程度ございましたか?」※1
私 : 「えぬ値・・・?なんですか、それ?」

●After
工務店 : 「建設地の地盤は如何でしょうか?」
私 : 「そういえば、近所で隣の建設工事中に傾いてしまった家がありました。先週、スウェーデン式で地質調査をしたところ、大変軟弱な地層がありました。」
工務店 : 「そうですか。他の地域ではRCが主流なんですが、川崎の南部は地盤の関係でS造が多いんですよ。」※2
私 : 「そのようですね。只今、正確な地質調査の手配をしておりますが、設計士とは、杭ではなく、地盤改良で行こうと話しております。」

※1 N値。地盤の固さを示す指標の一つ。
※2 RC(造)は鉄筋コンクリート造。S造は鉄骨造のことです。

と、受け答えもちょっと様になってきました。
それと同時にコストダウンの基本シナリオも出来てきました。

そのシナリオとは
@詳細仕様を明確にしながら、しっかりした見積及び対応の会社を絞り込む
A見積と同時にVEを提案して頂く ※3
B2社たたき合いの構図か、お願いベースで最終交渉

※3 
VE提案とはコストダウンの手法で、見積もりしていただく会社から仕様ダウンとコストダウンを提案して頂く方法です。
例えば、こちらが要求した仕様より安価な工法を提案して頂く。
それで同等以上の性能を維持できれば、コストダウンが成立するという方法です。

集まりつつある見積をチェックしてみると、大きく2通りありました。
一つは相当分厚い積算表が添付されており、かなり緻密な積算作業がうかがえます。
それに、VE提案もたくさん、質の良いものがリストアップされています。

もう一方は、詳細な積算表は添付されておらず、○○工事一式○○円という包括的な見積です。
薄っぺらな見積書で、あまり良い印象は受けません。
VE提案も設計意図を全く理解していないような質の悪いものが多かったと記憶しています。
恐らく、後者に工事をお願いしたら、後から膨大な金額の追加費用を請求されていたと思います。

実はこの時点で、実質的なコストダウンのシナリオが破綻していました。
きちっと積算した見積書を作成し、ここにお願いしたい!と思える会社が1社しかありませんでした。実質的に選べる選択肢がありませんでした。
この会社に逃げられたら、頼めるところがありません・・・。

作ったばかりのシナリオがもう風前の灯火です。
とりあえず、余りお願いしたいと思えない会社ともVE提案、コストダウンの交渉を継続しながら、次の手を探りました。
少しでも選択肢を温存したかったのでそのまま進めましたが、結果、設計をお願いした後輩の田中くんには相当の負荷がかかったと思います。
(田中くん、申し訳ない!)

次回はちょっと本題から離れて、コストダウンの実例についてご紹介してみたいと思います。。

では!

 
 <第八回> 「建築費コストダウンの実例」
 
こんにちは、竹之内です。

今回は本題から少し離れて、建築費のコストダウンの実例についてお話させてください。
すごくインパクトのあるコストダウンですので、知っておいて損は無いと思います!

工務店からのVE提案(コストダウンの提案)で印象的だったのは「廊下と居室の段差」です。

通常、お風呂やトイレなど水回りの床下には下水パイプが通っています。
この下水パイプはゴミや排水がスムーズに流れるために勾配(傾き)をつけますので、どうしても床下に高さ方向のスペースが必要です。
その床下にスペースの必要な水回りと居室の床をフラットにするため、居室の床下にはパイプスペースと同じ高さの無駄な空間が必要になります。
その場合、建物の1階分の高さ(階高)は居室の高さ(天井高)+パイプスペース+床の厚みが必要になります。
(説明図を参照ください。)

このVE提案ではあえて、水回りと居室にはパイプスペース分の段差を設けて、階高を天井高+床厚とすることができます。
建物全体の高さがパイプスペース×3階分だけ低くできますので、コストダウンの効果も絶大です。

このVE提案を採用しても設計的には問題ないことがわかりました。
でも、入居される方はどう思われるでしょうか?
建築費は下がっても、お客さんの支持を得られなければ本末転倒です。
でも、建築費は何としても下げたい…。
でも、お客さんの反応が読めない…。

結局、これを判断できるほど賃貸ニーズを理解していませんでしたので、ある決断をしました。
餅は餅屋だ!賃貸ニーズのことは仲介会社の方に聞こう!
厚かましいとは思いながら、(こちらが勝手に)各社見積の家賃査定に指定した大手仲介会社の川崎店へ教えを乞いに行きました。
ある日、アポも無しに訪問。幸い各社の家賃査定をして頂いた店長さんが丁度いらっしゃいました。

店長さんとのファーストコンタクト。
初めてお会いしますが、なぜか前からの知り合いだったような…。

店長さんとはすぐに今計画中の建物について盛り上がってしまいました。
以前から同じプロジェクトに携わって頂いていたような錯覚をしてしまうほどです。
(さんざん、建物の家賃査定をして頂いたので、ある意味その通りなのかも知れません…。)

しばらく、話していると相当優秀な方であること分かってきました。
質問をすると明確な回答とその根拠がすぐさま返ってくるからです。

信頼できそうなことを確認し、いざ本題に。
廊下(水回り)と居室の段差はお客さんに受け入れられるのか?
また、賃料ダウンするとすれば、どの程度か?

答えは「問題なし。」
賃料もダウンしないとのことでした。

実際に2棟ともこのコストダウン案を採用しましたが、全く問題ありませんでした。

この店長さんのお蔭で、お客さんのニーズを損なうこと無く、コストダウンを進めることができました。感謝、感謝です。

それと余談ですが、この時店長さんとの会話で次のことが判明しました。

某ハウスメーカー見積の家賃設定は高めにした…とのこと。
理由はこの会社にお世話になっていたから…だそうです。

また、彼が良いと思ったプランはある輸入住宅だったそうです。
1坪サイズの広い浴室や廊下・エントランスまでフローリングという贅沢な仕様。
その割に、建築費は高くないからだそうです。

情報発信源の都合で、信頼できると思える情報も歪んでしまうことがあるのですね。
改めて、計画の評価には注意が必要だと思いました。

今回はここまでです。
次回は本題にもどって、コストダウンの結果についてお話させて頂きます。

では!

 
 <第九回> 「最終見積!」
 
こんにちは、竹之内です。

前回は本題から少し離れ、コストダウンの実例についてご紹介させて頂きました。
今回は本題にもどって、今回のプロジェクトの肝であるコストダウンの成果である最終見積についてお話させてください。


壁にぶち当たっては作戦を立てる。という体力勝負のコストダウンもいよいよ大詰めになりました。
「下手な鉄砲、数撃てば当たる」作戦も虚しく、実質的な選択肢が残1社。
VE提案も「もうこれ以上どうしようもありません!!」という設計 田中くんの悲鳴。
さまざまな犠牲の上にコストダウンが進みましたが、いよいよ目標の7500万円には到達できないという現実が目の前に。(目標設定が間違っているから当たり前ですが・・・。)

そして、行き詰まった私は最後の一手を。
その作戦名は
「なんちゃって見積たたき合い作戦」

最後に、居ないはずの競合相手を設定して、最終の値引き交渉をという一か八かの作戦です。
この会社に辞退されたら計画が頓挫してしまうのに・・・。

一応、気持ちばかりの準備を行い、最後の見積をお願いしました。

気持ちばかりの準備にしたことはこんな感じです。
だんだんと姑息な手も常態化していますね。(笑)
  ・最後に残った2社という設定
  ・ここで、あと1社振り切ればゴールだという、最後の力を振り絞ってもらうため。
  ・営業マンを励ます
  ・社内合意が無ければ安価な見積を作ることは難しいと思います。
  ・そんな訳で、営業マンに社内調整を頑張って頂く為の励ましです。
  ・キーマンに訴える
  ・裁量権の限られた営業マンが作れる見積には限界があります。
  ・会社の上部へ行くほどに裁量は増し、安価な見積にハンコを押せます。
  ・社長さんにお墨付きを頂ければベストですね。

万策手を尽くした私は「これが限界だな…。」と全身で感じました。
目標に届かない自分の力無さに、くやしさがにじみました。
そして、提示額によっては「計画の中止も辞さず。」と腹をくくりました。
営利目的の計画ですから、目的を達成できない計画を進めても仕方ありませんから・・・。

北海道への出張中。タクシーの中でその電話を受けました。
最終提示額は 8300万円!

思ったよりも、かなり頑張って頂きました。

そして、即答。
「工事をお願いしたい」と回答。それと、これまで頑張っていただいたお礼を。

最初の見積もりから半年以上。既に、季節は冬を通り越して、春になっていました。
的確な目標設定がいかに大切で、難しいことだと言うことを痛感しました。

結局、建築費1億2000万円を8300万円(消費税別)にすることができましたが、一方で見積合わせに半年もかかってしまいました。
その間の機会損失を考えると相当の得べき利益を逃していますね。

今回のやり方はそれなりに効果もありましたが、それ以上に失敗もありました。
自戒を込めて、注意点をまとめます。ご参考いただければ、幸いです。
  @的確な目標設定は大変難しいこと
  A見積、VE提案、その採用可否を検討するために設計士と工務店に膨大な作業が発生すること
  B普通の設計士はこの馬鹿げた作業に付き合ってくれないこと
  C良い工務店ほどしっかりした見積(積算)をしてくれるので、膨大な作業が必要。そのため、見積に時間がかかること
  D一方で、いい加減な工務店は紙一枚の見積で値段をすぐに下げてくる。恐らく、完成してから膨大な金額の追加見積が漏れなく付いてくると予想されること
  E良い工務店とそうでない工務店の判断が大切(値段だけに目を奪われない)
  FVE提案の中には「廊下と居室の段差」など入居者ニーズを良く理解していないと、採用の可否判断が難しいものがあること
  G1ヶ月の利益より小さい額のコストダウンに1ヶ月以上かけるのはムダ
  H半ズボンは見積依頼に適さない(笑)

コストダウンって難しいですね・・・。
反面、本気で取り組んでいたので、すごく楽しい充実感を感じてもいました。

皆さんはやり過ぎないように注意して下さいね。

次回は建築のお話をさせて下さいね。
では。

 
 <第十回> 「建てる!」
 
こんにちは、竹之内です。

前回、お話ししましたとおり設計が完了し、建築費の見積を手に入れ、依頼先も決めました。
とうとう、建築です。

いよいよ、苦労して作った計画が目に見える形になるぞ!今まで以上に大変だぞ!
と身構えていましたが、結局、スムーズに建物が完成しました。

もちろん、設計・監理をしてくれた後輩の田中くんや施工していただいた工務店さんにはモーレツな量と質の仕事を遂行していただきました。
コストも工期もタイトですし、建物の基礎・躯体からリテールまで田中くんのこだわりが随所に織り込まれていましたので、肉体的にも精神的にも厳しい建築だったと思います。

でも、私としては、ほぼオートマチックに過ぎ去った期間でした。
設計と施工がせめぎ合いながらも、すごく機能していたのが良かったのかも知れません。
正直、私も何かしたい!という物足りなさ感もありました。
(田中くん、工務店さん。バチあたりな私をお許しください。)

今回はこれで…。というのは寂しいので、一つ、嬉しかったエピソードをご紹介させてください。
それは、建物がほぼ完成。引渡し間近のことです。
田中くんと建物を眺めながら歓談している時、入居を決めて頂いた地元銀行に
お勤めのお客さんが通りかかりました。

私 :「こんにちは。入居をお決め頂きありがとうございました。
どうぞ宜しくお願いしますね。」
お客さん :「こちらこそ、宜しくお願いします。」
私 :「ところで、この建物は基礎と躯体に凄くこだわったんですよ。もう見えないですが…。」
お客さん :「知っていますよ。この辺りを営業で回っていますから。」
私 :「えっ。では、鉄骨の状態をご覧に?」
お客さん :「ええ。それで、是非ここに住みたくて引っ越すんです。」
田中くんと私 「 …。」(じ〜〜ん)

安心・安全に住んで頂きたいという二人の思いから、基礎・躯体にすごくお金をかけました。
それが、報われた瞬間でした。
ちょっと…というか、相当嬉しかったです。

建築行程においては、こういった感じで私は何もしなかったこともあり、あっという間に完成したっていう印象で、余り多くを語れないのが事実です。
お許し下さい。

建築も完成しつつあります。
当たり前の話ですが、次に住んで頂くお客様を捜さなくてはいけません!
そのあたりの話を次回させていただきます。

 
 <第十一回> 「賃借人探し」
 
こんにちは、竹之内です。

いよいよ、完成も近づいてきました。建築は順調です。
でも、大家業にとっては建物の完成こそ、本当のスタートですね。
しかも、新築ですから、全室が空室という厳しいスタート。

住んで頂ける方を見つけて行かなくてはいけません。

そこで、いつもの様に?何社かの仲介会社さんを訪問し、賃料の査定をして頂きました。
その結果は次のような傾向でした。
(高く貸してくれそうな順番にまとめました。)

@沿線都心寄り(大井〜蒲田)にある会社
・お客様の予算が合わない場合、数駅先(川崎など)の物件を紹介するそうです。
・その場合、都心寄りの高い相場家賃を基準にされているので、高めに貸せるとのこと。
・反面、遠いために対応が心配です。
・2〜3部屋なら心強いですが、全戸となると難しそうだと感じました。

A川崎駅前の大手仲介会社
・テレビでお馴染みの大手仲介会社さんです。
・やはり、集客力がありますので、高く貸せる力があると思います。
・地元の不動産屋さんと比べて、お店にいらっしゃるお客さんの数が段違いです。
  (皆さんもお店をチェックしてみてください。来客数が良くわかると思います。)
・「対応が良くない」という噂もチラホラと聞こえました。

B中堅又は地元の力のある会社
・比較的強いのは、お店の立地や広告に力を入れている会社。
・地元の会社、銀行、病院などにコネクションのある会社も侮れません。

C地元の普通の会社
・お店の場所が良くなく、広告などにも力を入れていない会社は厳しいと思います。
・特に土日お休みという不動産屋さんは難しいと感じました。

というような傾向です。

専任という選択肢も魅力的でしたが、
今回は15部屋ありましたので2社にお願いしようと考えていました。
家賃を決めなければならないので、軸になる1社を最初に決めました。
コストダウンのご助言を頂いた大手仲介会社の川崎店さんです。
査定家賃も高かったですし、その根拠もすごく明確でした。
店長さんにはそれまでもコストダウンなどでお世話になっていましたし・・・。

家賃が決まりましたので、引き続き、これよりも安い賃料設定をした会社に聞きます。

私 :「この家賃設定で2社にお願いすることにしました。
    1社は駅前の大手仲介会社さんです。
   以前査定して頂いた金額より高い家賃設定ですが、どうでしょうか?」
仲介会社:「ファイティングポーズをとらせてください!」(やらせてくださいという意味)

結局、断りきれずに残った3社へお願いすることになりました。
・・・と思っていたら、さらに思わぬ展開が。

ある日、仲介をお願いしたのとは別の大手仲介会社の店長さんがいらっしゃいました。
仲介させて欲しいという申し出でした。
すでに、3社体制でしたからお断りしようとしましたが、なかなか引き下がりません。
ついには手数料を安くするとの提案まで!

コストダウンに弱い私はすんなりOKしてしまいました。

最終的には4社体制でスタート。
そして、これが予想以上の競争を生み出し、結果簡単に満室になりました。

ある会社が部屋決めると、他の3社に連絡します。
私 :「205号室が決まりました。このお部屋の予約を中止してください。」
仲介会社:「わかりました!うちも頑張ります!」

闘志剥き出しのすごいデットヒートを繰り広げていただいたのです。

色んなパートナーさんがいて、不動産経営はなりたっていくのですが、
『オープンに各社に声をかけ、競争状況をつくる』というのが私のスタイルかもしれません。
色々、賛否はあるかと思いますが、裏もなく、そういうスタイルでやっていくことを各社に表明し、貫くことで、こうしたスタイルでも強固な信頼関係は築けると思っています。

こんかかたちで、最初の物件であるInCubeの経営は無事スタートを切ることができたわけです。
めでたし、めでたし。

 
 <第十二回> 「二棟目の計画」
 
こんにちは、竹之内です。

InCUBEの経営は思ったよりも順調でした。
空室が発生してもすぐに予約いただけましたし、僅かですが賃料を上げることもできました。
予想以上のキャッシュフローです。

一方、家業である燃料の小売業(プロパンや灯油などの販売)は儲からない商売でした。
商売で使っている倉庫・荷積み・駐車スペースがInCUBEと同程度の収益を上げると仮定した場合、全く利益が上がっていない計算です。

相続で苦労していなければ、このまま儲からない商売を容認していたと思います。
でも、今は違います。
全ての結果を受け入れるために、ベストを尽くす!こう決めたのです。

先ずは、燃料屋として生き残り、利益を上げるための道を探りました。
顧客ニーズは?付加価値を上げられないか?ディスカウントした場合、シェアをどの程度上げられるか?仕入れを安くできないか?効率を上げられないか?
検討はしても、出来ない言い訳ばかりで・・・。
(言い訳では相続税は払えない!!)

我が家の実力では、燃料屋として利益を上げることはムリ!ということが良くわかりました。
家業を引き継いだ弟は相当悩んだみたいですが、利益の上がらない商売を続ける訳にいきません。
四代目で燃料屋は我々の代で廃業。賃貸を専業として再スタートすることになりました。

そうと決まれば、早速、基本計画作りです。
最初の問題は自宅をどうするか?
  ・そのまま残すか?
  ・賃貸併設の建物にするか?
  ・その場合、どのように自宅を組み入れるのか?

以前ならば悩み抜くところですが、一気に解決しました。
不動産経営の勉強会に参加するようになっていたからです。

厚かましい私は勉強会後の飲み会、電話で、挙句の果てにはご自宅に押しかけて勉強会の重鎮の方々にアドバイスを頂きました。
導き出された答えが「全部賃貸にして、家族は当分アパート暮らし」です。
気持ちの整理には時間が掛かりましたが、事業としては文句なしのパフォーマンスです。

こうして基本計画が決まりました。
後は前回とほぼ同じです。

ただ、今回は私の代わりに全てを弟が行いました。
この様な良い機会はそう滅多にありませんから、是非、この経験を積んでもらいたいと思いました。相当のプレッシャーはあると思いますが。

私が、二棟目のInZEBRA計画について語れるのはここまでです。
ここから先は全てを弟が行いましたので。

まぁ、「何もしない」というのも相当に辛い作業でしたけど。

次回からはちょっと視点を変えて、融資についてお話させていただきたいと思っています。
不動産経営の肝の分ですので。
では。

 
 <第十三回> 「融資への取り組み」
 
こんにちは、竹之内です。

前回まではInCUBEとInZEBRAの建築についてお話させていただきました。
今回はちょっと切り口を変えて、融資についてお話させてください。

1棟目の建設から今までに計3回のローンを組みました。
  @1棟目建設時 地元の信金 1.7%(2年固定)
  A2棟目建設時 地元の地銀 1.1%(2年固定)
     (全額借換え)   →1.35%で2年後に更新
  B借換え 都銀 1.3%(5年固定)

勉強会の先輩はもうちょっと安く借りている方もいらっしゃいますが、身の丈を考えると今の金利は上出来だと思っています。ということで、今回はこれに至るまでの融資ストーリーについて順番にお話させて頂きますね。

最初は1棟目を建設しながらの交渉でした。
建設会社探しと同様、いろいろな銀行にアクセスしましたが、本当にびっくりするくらい大手の銀行は相手にしてくれません。しかも、銀行は建設会社と違って数も少ないので、たくさんに声を掛けることも出来ません。

結局、家に来てくれたのは地元の信金と地元の地銀 計2行の営業マンだけという悲しい結果。

銀行は土日が休みですし、建設会社以上に敷居の高いところです。
確かに、賃貸経営の実績も何もない人間が何を言っても信じてくれるはずないですよね。

結局、打つ手も無く、地元の信金に2年固定 1.7%がやっとの交渉でした。

この時、どうやったらいい融資条件を得られるのか?を真剣に考えました。
そして、こんな結論に達しました。
(たまたま当時、読んでいた「7つの習慣」という本の影響でしょうね。)

「条件交渉のテクニックを身につけるより、銀行が“是非取引したい!いい融資条件を提示したい!”そういう“客”になろう!つまり銀行にとって良い“貸出先”になろう!」と…。

その為には

 @貸出先としてリスクが低く、確実に利益を出せる、財務内容の良い経営を実現する
 Aそれを信用力のある資料(確定申告書、入出金通帳)で証明する
と考えました。

そして、これを必ず実行しようと決めました。

良く考えてみれば、これは対銀行のためだけでなく、自分が目標とする経営そのものだったかもしれません。
そう考えてみると、銀行の審査は経営の健全性の診断としても有効じゃないか・・・
とも考える様になりました。

次に最初の融資から約1年半後、2棟目の建築時に全額を借り替えました。
このときは地元の地銀で2年固定 1.1%(当初)。

最初のローンよりも少しいい条件でした。短い期間ですが、1棟目を満室経営し、それを資料で証明できたのが評価されたのでしょうか?
多分、1棟目の時から一貫して、「0.01%でも低い金利でないと借り換えないよ!」
という主張も影響していたのかも知れません。

その証拠に、最初から交渉無しのベスト金利を提示してきました。
営業マン曰く、「これ以上は交渉しても低くなりません。この条件でダメでしたら、私にはどうしようも無いので諦めます。」とのこと。

実は金利交渉とは別に、この銀行との取引は税理士の先生から止めた方が良いというアドバイスを頂いていました。
当時、先生の他の顧客でいわゆる“貸し剥がし”をされている方がたくさんいらっしゃったからだそうです。

これも考え方ですが、「優良貸出先になる」という経営目標を掲げている我が家としては、むしろ望むところだ!との思いがあり、獅子の口に手を入れる覚悟を逆にしました。

事業を営むからにはどこかでリスクを取らなければならないと思いますので、どうせなら前向きなリスクをというのが家族のコンセンサスです。
(事業が傾いても貸し剥がされないという後ろ向きなリスクヘッジより、低い金利で早く借入金を返済する前向きなリスクヘッジという選択です)

そして、最後はつい数ヶ月前。2005年3月です。
某都銀から5年固定 1.3%の全額借換えを行いました。
2年固定0.8% 3年固定1% …という提示を受けたとき、ちょっと達成感がありました。
我が家の経営目標である「良い融資先」として、メガバンクからお墨付きを頂いた瞬間だったからです。

ちょっと、手前味噌になりましたが、この銀行への対応をまとめますね。
 ・ きちっと、利益が上がる経営を実現する
 ・ それを、確定申告書、通帳など信用力の高い資料で説明する
 ・ 上記以外にも資産や経営状況、事業計画をわかりやすく説明できる資料を準備
  (営業マンが上司にもその資料で説明できる様に)
 ・ 要求された資料は全て提出する
 ・ ウソをつかない
 ・ 経営についての質問には明確に答える
 ・ 更新前などの節目には他の金融機関を回り、情報収集と情報発信を怠らない
 ・ 必ず、スーツを着て行く(笑)

融資交渉とは関係ありませんが、今回、5年固定を選択しました。
いろいろとシュミレーションした結果、多少コストを負担すれば金利上昇リスクをヘッジできることが判明したからです。
それと、毎日10年もの国債の利回りに一喜一憂したり、日銀の政策決定会合の議事録をチェックするのも疲れました・・・。

折角、借換えのシミュレータ-を作成しましたのでよかったら使って下さい。
ちょっと使い難いかも知れませんが、ご容赦を。

今回はここまでです。
では、また次回に。

 
 <第十四回> 「税金の恐ろしさを知る」
 
こんにちは、竹之内です。

前回は融資についてお話させて頂きました。
今回は法人成りについてお話させてください。

私が法人成りを検討するきっかけになったのは、
参加している勉強会の先輩に物件を見学させて頂いた時のことです。
見学が終わり、ご自宅でお茶をご馳走になりながら、お話をしていると…。

先輩 :「うちは所得税・住民税・法人税・固定資産税など全ての税コストを××%で経営しているんですよ。」
私 :「へぇ〜(ボタンを押しながら)。そうですか。」(その凄さが全然わかっていない。)

家に帰って、我が家の税コストを計算してみるとビックリ!
ここで初めて、税に対しずぼらな経営をしていることに気づきました。
これが法人成りを検討するきっかけです。
(些細なことですが、経営の課題に気づくというのは大変に重要なことだと思いませんか?)

その頃は会社を辞めて、時間もたくさんありましたので、徹底的に勉強しよう!
ということで検討をスタートしました。

お世話になっている税理士の先生、勉強会の先輩方、
以前勉強会に講演に来て頂いた講師の方々、有名なFP、本など片っ端からアクセスしました。

すると、大きく2つ方式があることがわかりました。
管理会社方式と物件所有方式です。

前者は文字通り管理会社を設立して、管理を会社で行うという方式で、最もポピュラーな法人成りですよね。
一方、後者は調査していて初めて知った方式です。
設立した会社で建物を買い取り、会社所有で経営する方式です。
そして、著名なコンサルタントや尊敬する先輩はこの方式を勧めてくれるのです。

ただ、尊敬する先輩だからといって、そのまま「はいそうですね。」
と受け入れることのできない私は管理会社方式と物件所有方式のシュミレーションすることにしました。

そして、これもいつもの様に無謀な試みでした…。
だって、すべてのケースで税額を計算するのはただ事じゃない作業と知識が必要だからです。

残念ながら、数ヶ月かけて作ったシュミレータ-は細かな間違いがたくさんあり、途中で挫折してしまいました。
正確な税額は算出できませんでしたが、相当数字をいじったおかげで、“どうしたら、こうなる!”という因果関係が頭の中でイメージできるようになりました。

つまり、会社の形態、会社の所有者、どちらの建物を譲渡するかなど多数の組み合わせの中から最適な組み合わせが分かるようになったのです。

そして、法人成りの最後の検討が“検証”です。
法人成りしてみたけれど、効果がありませんでした…では笑えない話なので。
その大きなポイントは
@ 会社で買い取る建物の譲渡価格を不動産鑑定士に鑑定してもらう
A ローンをどうするか銀行と協議する
B 上記をふまえ、税理士に課税関係をチェックしてもらう

順番に説明しますね。
@ 会社で買い取る建物の譲渡価格を不動産鑑定士に鑑定してもらう
これは贈与税の認定課税を避けるためです。
もし、通常の売買よりもすごく安い価格で譲渡した場合、当局はその差額分の贈与があったとみなし、その差額に贈与税を課税しますので注意が必要です。(逆に高い価格の場合も同様)

贈与税は所得税よりも税率が高いので、課税された場合はキャッシュフローが大変厳しくなります。もの凄い経営リスクですね。

では、“通常の価格”ってどんな価格でしょうか?
所轄の税務署で確認したところ、「簿価ではなく、一般に流通する価格。市場で売れる価格。」だそうです。
土地ならば実勢価格というところでしょうか。

ところが、建物だけの流通適正価格を決めるのは実に難しい作業です。
そして、この価格を誤ると認定課税という恐ろしい事態に…。

多少費用もかかりますが、建物だけの流通適正価格という難しい値付け作業ですからプロの不動産鑑定士さんに鑑定して頂くのが妥当だと思いました。
そして、その鑑定額ジャストで譲渡。
人によっては「半額までは大丈夫!」など様々な意見がありましたが、私たちの目的は確実に長期的な利益を上げることですから。
脱サラリーマン以降は堅実な経営を嗜好するようになった気がします。

それと余談ですが、不動産鑑定は勉強会のメンバーの方に格安でお願いしました。(笑)
コストダウンできることはしっかりと!ちゃっかり者精神発揮です。

続いて、Aローンをどうするか銀行と協議する について説明します。
ローンを組んで建てた(購入した)不動産には抵当権がついていますよね。
この抵当権が設定されたまま、建物を会社に譲渡しても良いか?
ということを事前に銀行と相談しておく必要があります。
一応、法的に抵当権が設定されたままでも不動産の売買は可能ですが、銀行さんから「契約の履行に重大な疑義が発生したから、すぐに全額返済してください。」
などと言われたら困りますよね?
これはそうならない為の確認です。

何人かの銀行員に聞いてみましたが、どう対処するかは銀行によって判断はマチマチの様です。
同じ条件(個人のアパートローン)での借換え(ほぼ、名義換え)や法人用のローンへの移行など方法は幾つかあるのですが、ここで一つ注意すべき点があります。

それは、法人用のローンへ移行する場合です。
なぜなら、新設した会社はまだ一度も決算を迎えていない銀行にとって信用を判断できない状態ですから、融資基準から外れてしまったり、リスクの高い会社として高金利ローンになってしまう可能性があるからです。
節税ができても、その分利息を多く払えば本末転倒ですよね。

ちなみに、私たちの場合は格段の便宜を図って頂いたので、ここでは詳細を申し上げられません…。関係者にご迷惑がかかると大変申し訳ないので、お許しください。

最後が、B上記をふまえ、税理士に課税関係をチェックしてもらう です。
これは思い違いや計算ミス、常に改正される税法への対応不足などヘッジするためです。
何かを見過ごしていて、実は節税にならなかった…ではシャレにもなりませんから!

そしてたどり着いたのが、“私が100%出資した有限会社で弟が所有するInZEBRAを買い取り、物件所有方式で経営する”法人成りが最適だという結論です。
(物件概要をご覧ください。)

尚、このスキームは“相当の地代”の取扱いなど、税法を熟知していないと思わぬ火傷をする可能性もありますので、くれぐれも慎重にご検討くださいね。

今回は法人成りの検討までお話させて頂きました。
この件に関しては以前、勉強会で発表した資料がありますので、何かの参考になれば嬉しいです。

次回は法人成りの実務についてちょっとお話させてください。
では!

 
 <第十五回> 「法人会社を立ち上げる」
 
こんにちは、竹之内です。

前回は、税金の怖さをしった私が法人成りの検討した話をさせて頂きました。

実際やりました実務について、もうちょっとお話しさせてください。

正直、法人成りの実務はすごくおもしろい作業でした!
意外と簡単な作業ですので、皆さんも司法書士の先生にお願いせずにご自分で会社作りをされたら如何でしょうか?
多少の時間と勉強は必要ですが…。

前回の通り、シナリオ作成とその検証は済んでいますので作業開始です。

最初は会社設立。
これは必要な書類を登記所に提出して幾つかの手続きを行うだけです。
とはいえ、会社の法律である“定款”を作成するのはちょっとメンドクサイ作業でした。
どんな会社にしたいかという経営デザインを会社の法律たる定款にまとめて、しかもそれを公証人役場で適法に成立しているか認証して頂く必要があるからです。
一字一句まで全ての書類と文字が全く同じでないと認めてくれませんし…。

でも、会社の名前はどうしようか?資本金は?目的(どんな業務をするか)は?など、会社の形を考えるのはすごく楽しい作業でした。
将来、会社をどうしたいかをイメージしながらいろいろ考えるのは本当に楽しい作業です。

そして、会社名を決めて、会社の実印ができた時も感動的です。
やるぞ〜って、力が湧いてくる感じです。

設立の詳細については、本屋さんで登記手続の本を一冊購入し、わからないところは登記所へ行って聞けば教えてくれますので難しいことは何も無いです。
ちなみに、私のお薦めは日本法令の「有限会社の登記の手続き 鈴木智旦著」です。
ただ、会社法の改正で有限会社が無くなってしまいましたが…。

会社が設立できたら、次は建物譲渡契約。
これも契約書のフォーマット集を一冊購入し、自分で契約書を作成。
当人同士の売買契約なので、ラクチンです。
契約相手とのトラブルを考えなくてもいいですから。
契約が有効に成立していることを不動産登記の登記官に認めてもらえるレベルであれば何の問題も無かったです。(収入印紙を忘れずに…。)

そして、最後が建物の所有権移転登記です。
これも、登記所の相談員が(暇そうな時なら)丁寧に教えてくれるので難しい作業ではありません。
書類集めや一字一句まで申請書の文面をチェックされるので、メンドクサクはありますが…。

後は銀行口座の開設や税務署などへの開業届など細々した作業を片付ければ完了です。
会社設立って意外と簡単じゃないですか?
結構おもしろい作業ですし、一度試してみることをお薦めします。

最後に、法人成りを実行してよかった点と悪かった点をお話しますね。

まず、良かった点が2つあります。
一つは節税の効果です。
そしてもう一つは、利益が明確になることによって、戦略的な経営を行うための基礎ができたことです。
個人経営ですと、人件費と会社の利益は混同されてしまいますし、不動産の売却による損失も控除されませんから経営がルーズになり勝ちだと思います。

その点、法人ならば複式簿記を用いてそれなりの決算をしますから、利益額とその構造についてより詳細に把握することができます。
単年度と中長期的な利益のバランス。成長の持続性やリスク。
ROAやROE、デッドエクイティ比率など上場不動産会社と指標を比較することによって、次の経営課題も浮かび上がってくるところが法人成りの良いところだと思います。

一方、悪い点は
経理の手間が掛かり、その上、コストがかかるところです。
打ち合わせに行ったら旅費精算。伝票を作って、会計ソフトに入力して…。
仕訳けを間違えて修正して…。明らかに作業が増えました。

それと、税理士の先生に顧問をお願いしましたので、そのコストが今までより増えました。
これは、自力で全てできればいいんですが…。

今回のお話はここでです。
次回はいよいよ最終回。脱サラリーマンとその後についてお話させて頂きますね。

では、また。

 
 <第十六回> 「脱サラし専業大家にあって・・・」
 
こんにちは、竹之内です。

今回は最終回です。サラリーマンを辞めて専業の大家へ転身したお話をさせてください。

2棟目が満室スタートできたので、賃貸経営はそれなりに順調な滑り出しでした。
もちろん、小さな問題はたくさんありましたが…。
それに、家族は1ヶ月8万円弱のアパートで緊縮モードの生活をしていましたので、我が家の家計は急速なV字回復を果たすことができました。

一方、私はサラリーマンとして睡眠時間を削りながら仕事をしていましたので、いつも心の中で賃貸経営について“言い訳”をしながら日々を送っていました。
忙しいから賃貸経営やその勉強に時間が割けない…と。

でも、この言い訳は明らかに間違っていると分かっていました。
賃貸経営は事業であり、行動せずにはよい結果など期待できないと思うからです。

こんなジレンマの中で、悶々とした生活を送ってきました。
ある日…というか数ヶ月かけてゆっくりと優先順位を入れ替える決断をしました。
最終的には賃貸経営に軸足を置いて、余った時間で何か(サラリーマンなど)をしよう…と。
もちろん、その決断には賃貸経営のキャッシュフローで生活できそうだという安心感があったと思います。

脱サラリーマンという私の人生にとって大きな決断と実行は大した盛り上がりもなく、ゆっくりと粛々と行いました。
やるぞ〜!というより、やるべき事をコツコツと遂行するような気持ちでした。
こんなに気持ちが盛り上がらなくていいのか?と思うくらいです。
上司への相談、手続き、業務の引継ぎ、机の整理…。
今考えても、盛り上がりに欠けすぎですね。

退職後はしばらく、簿記や宅建の勉強をしたり、不動産関係の仕事で戦闘力をアップしようかなぁ?などとのんびりとした生活を送っていました。

半年も経つと不思議なもので、目先の利益を追い求めるようになりました。
多分、辞めても経済的な利益を損なっていない「脱サラリーマンは正しかった!」という根拠が欲しかったのだと思います。
例えば、失敗した確定申告を更正の請求で一部取り戻したり、固定資産税の見直しをしたり…
などです。

そして、新たな収益源を作ること。つまり、新たに不動産投資を行うことだ!との考えに収束してゆきました。

よし投資するぞ!モードの私はいつものようにいろいろと調べてみました。
勉強会の先輩に聞いたり、業者まわり、インターネット、セミナー、本などで。
時間もありましたので、徹底的に調べました。

そして、数ヵ月後の2004年3月にある結論に達しました。
「今は不動産投資に良い時期では無いので止めておこう…」と。

そう決断したのは、ある物件を検討した時です。
勉強会の先輩から紹介されたルートで、ちょっと特殊な入札物件。(競売ではありません)
建物自体はボロボロですが、立地が良く、表面で20%以上(業者想定)という私好みの物件でした。

気合を入れて現地調査に3日。調査した近隣の賃料下落や空室率、それと金利上昇などさまざまな組み合わせのキャッシュフローをシュミレーションをしました。
そして、幾らなら買うのか?(期待した利益が得られるのか?)を必死で考えました。

その結果は?というと…
再販業者が落札しました。
保有していても利益が得られない(と思われる)とんでもない金額で。

そして、しばらくするとこの物件が売りに出てきました。
元の値段から考えると、えぇ〜と驚くすごい値段です!(他の物件と同等の価格ですが…。)

その時、ある人の話を思い出しました。
「僕は1987年に持っている全ての株を売って、現金にしたんですよ…。
 株価が合理的な価格形成から大きく乖離し始めたので。
85年プラザ合意以降の低金利政策がバブルを形成したんでしょうね。」
(89年の年末にバブル崩壊。91年地価下落へ転じ、土地神話が崩壊しました。)

そういえば、最近の経済情勢は長期の金融緩和、合理的な価格からの逸脱…。
ってことは、今、不動産バブル前夜?

この疑問の答えを見つけるために、本をたくさん読み、たくさんの資料をチェックし、エコノミストの集まりやマニアックな勉強会にも参加して勉強しました。
結局、未来のことは正確に予想することはできないってことが分かりましたが、今は長期保有目的の不動産投資としあまり良いタイミングではなということも肌で感じました。

いくら特殊な取引形態でも、非合理的な高値で購入する人がいてはうまみのある投資になりません。
後追いで調査した結果ですが、今回の買場は2000年前後だったとわかりました。
ある有名な競売業者さんのデータでは2000年に都心中心部が底値を付け、数年かけて広がって行く様子が浮き彫りになっています。

最近、意気投合した業者もこんな事を言っていました。
彼曰く、「今は業者同士が生き馬の眼を抜くようなせめぎ合いをしている時だから、素人が利益を出せる可能性は極めて低い時期ですね。」とのこと。

そして彼と私は投資についてほぼ同じような認識を持っていました。
「長期に保有する不動産の買い時は、不動産価格が下げ基調で金利の高い時。
なるべく、借入れ金に依存しないで購入する。そのために、今すべきことは銀行に対するクレジット(ここでは信用という意味)作り!」

2005年1月21日付けの日経新聞には経済財政諮問会議の展望という記事の中で
「(歳出削減や構造改革が進まず、経済が停滞するケースでは)長期金利は6−7%まで上昇。」
と報じました。もちろん、基本シナリオは2012年にプライマリーバランスが黒字に転じて…
という内容でしたが、今の延長上にあるのはこの非改革ケースだと思います。
その証拠に、プライマリーバランスって実現しそうも無いですよね?

アパートローンが8%、いや10%になったら、不動産の価格ってどうなるでしょう?
次の相場はもう始まっている…今はそう思います。

これで、私のドタバタ体験記は終わりです。
私の経営同様、纏まりの悪い体験記になってしまいましたことをお詫び致します。

そして、最後にちょっとご案内させてください。
今度、川崎で大家の協会を作ろうと考えています。
協会といっても、勉強会や情報交換を主に行う予定ですが、もし、興味のある方はご連絡をくださいね。(media@likeit.asia)
これからは、大家業も戦略的な経営を意識しなくてはならない時代だと思いますし、その為には地域の同業ネットワークが欠かせないと感じるからです。

それでは、皆様の不動産投資・経営が実り多いものになりますようお祈りしております。
長い間ご拝読いただきありがとうございました!

 



 
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