「サバイバル」
(~戦争、原爆・放射能、世界恐慌、大地震~)です。
「サバイバル」
(~戦争、原爆・放射能、世界恐慌、大地震~)
加藤 隆
はしがき
1941年12月8日~1945年8月15日第2次世界大戦、1990年バブル崩壊、1995年1月17日阪神淡路大震災、2008年リーマンショック、そして、2011年3月11日東日本大震災・津波・火災、原子力発電所爆発・放射能漏洩・計画停電、この世は、戦争、原爆・放射能、世界恐慌、大震災等、リスクに溢れています。
今は、東日本大震災・津波・火災、原子力発電所爆発・放射能漏洩・計画停電。
自粛ブームで、飲酒・飲み会、旅行も禁止。
電気も消灯。
薄暗い中での生活。
名実共に、世の中、真っ暗です。
しかし、落ち込んでばかりはいられません。
「夜明け前が一番暗い。」
「太陽は沈んでも又昇る。」
「夜の次は朝が来る。」
「冬の次は春が来る。」
しかし、人に頼ってばかりではいられません。
誰かが助けに来るのを待っているだけでは駄目なのです。
世の中が変わるのを待っているだけではいけません。
特に、地震等天災は、人知の及ばないもの。
人のせいにしてばかりではいられません。
自分のことは自分で守る。
自力救済です。
自分で打開しなければならないのです。
「過去と他人は変えることはできません。」
しかし、
「未来と自分は変えることはできるのです。」
主人公の一人である加納雅夫は、1945年(昭和20年)8月6日午前8時15分、広島へ向かう列車の中、原子爆弾にあってしまいます。
しかし、必死に、生きていこうとします。
被曝して、そして、経済崩壊の中でも、必死に生きていこうとします。
国事態も、敗戦により、壊滅状態。
日本中が、空襲、原爆投下、敗戦の影響で、壊滅状態。
誰も、自分自身生きるのが精一杯で、周りに目がいく余裕もないのです。
そんな中でも、加納雅夫達は、必死に生きていこうとします。
戦争、原爆・放射能、世界恐慌、大震災、「想定外」の何が起こるかわからない世の中、正に、「サバイバル」なのです。
尚、これは、フィクションではありますが、ある人達のモデル、実際にあった話等に基づいて、作成したものです。
第1章 戦争、原爆・放射能
○1945年(昭和20年)8月6日午前8時15分、広島へ向かう列車の中:閃光・爆音・爆風
1945年(昭和20年)8月6日午前8時15分。
広島。
加納雅夫15歳は、学徒動員で、広島へと向かう列車の中だった。
「もうちょっとで、広島じゃのー。」
うとっとしかけたその時だった。
列車の外の背中側で、
「ピカッ!!」。
「うわー!!」
「なんならー?」
と思ったその直後、
「ドーン!!」
という爆音。
「何か、爆弾でも落っこちたんかのー?」
そして、爆風。
列車の窓をめがけて、色んな物が吹き飛んでくる。
「ガシャーン!!」
列車の窓は砕け散り、ガラスの尖った破片と外から飛んできた物とが一緒に、乗客に襲いかかる。
「キャー!!」
あちこちから聞こえる悲鳴の音。
それと同時に、列車は、急停車。
雅夫は、爆風と急停車で、斜め前横に吹き飛ばされた。
「ドカーン!!」
列車のはじに、激しく打ち付けられた。
「うっ。。。。。。」
雅夫は、一瞬、気を失ってしまった。
・・・・・・
「うーん。。。。。。」
雅夫は、気がついた。
「どしたんなら?」
「何があったんならー?」
周りを見渡すと、大勢の乗客が倒れており、
「助けてくれー。」
という悲鳴も聞こえてくる。
しかし、余りに多過ぎて、一人では、どうすることもできない。
自分自身にも、何箇所か、ガラスの破片がささっているようで、今頃になって、にぶい痛みが走ってくる。
列車で反対側に座っていた者は、眼を押さえたまま、伏せっている。
「眼が。」
「眼が見えん。」
「何か知らんが、あの光を直視してしもうたんかのー?」
「もし、わしも、あっち側に座っとったら、あがーにー、なっとたんかも知らんのー」
雅夫は、取り敢えず、自分の体にささったガラスの破片を抜いた。
8月15日という真夏のさかり。
広島は暑い。
半袖だったので、肩から下は、露出していた。
その部分に、ガラスの破片がささっていたのだ。
「いてーのー。」
「はしるのー。」(広島弁で、「ひりひりする」という意味)
取り敢えず、傷口を唾で消毒した。
唾はあまり衛生的とは言えないが、そんなことも言ってられない。
昔、山の上で怪我をして、緊急の時は、自分の小便を塗って消毒したこともあった。
小便には、アンモニアが含まれており、いざという時には、消毒作用があることも聞いていた。
そして、傷口の上部をハンカチで巻いて、止血した。
「何や知らんが、肩から下が、黒く、日焼けしとるが。」
「少し、火傷したんか、ヒリヒリするのー。」
雅夫は、列車のトイレに行った。
トイレの手洗いで、蛇口をひねってみた。
「良かったー!!」
「まだ、水が出るでー!!」
水で腕を洗い流し、冷やしておいた。
すると、その傍で、
「助けて。」
「父が、息をしとらんのよ。」
「父は、心臓が弱いんで、ショックで、止まったみたい。」
雅夫は、すぐさま、その人に、声をかけてみた。
「大丈夫ですかー?」
「・・・・・・」
反応はない。
鼻と口に顔を近づけてみた。
「いきゅうー、しとらんのー。」
手首・首を触ってみて、次に、心臓に耳を当ててみた。
「脈もないのー。」
「こりゃー、いかん。」
雅夫は、その人を仰向けにし、次に、顎を突き出させ、気道を確保し易い姿勢にした。
そして、両手で、胸を押し、そして、口から、息を吹き込んだ。
これを何回も何回も繰り返す。
何回も。
何回も。
すると、
「フー。。。。。。」
微かに、呼吸の音が。
助かったのだ。
「良かったー!!」
雅夫は、柔道や水泳が好きだったこともあって、心肺蘇生法を知っていたのだ。
昔、川で泳いでいて、流されて溺れていた少年を助けたこともあった。
この時も、呼吸が止まっており、この心肺蘇生法で救助した。
この時、警察からは、表彰状を貰った。
しかし、中には、倒れたまま、ピクリともせず、返事もしない者もいた。
「こりゃー、全員を助けるのは困難じゃのー。」
「どうしようもなさそうな重体の者はともかくとして、助かりそーなもんを、さき―、助けにゃー、しょーがないがのー。」
別の場所では、
「腕が痛い。」
見ると、腕を激しくぶつけたようで、少し、ぷらぷらした感じである。
「こりゃー、骨が折れとるかも知しれんのー。」
「どがーしょーかいのー。」
「そうじゃ。」
雅夫は、近くに転がっている木の破片を広い、腕にあて、添木代わりにしようとした。
「こりゃー、骨が折れるで。」
「ダジャレ、ゆーとる場合じゃー、なかろーが。」
「ほーじゃのー。」
「ほいじゃが、リラックス、さしちゃろー、思うたんじゃ。」
腕に木片をあて、服をちぎって、包帯代わりにして巻き、何とか、腕を固定させることができた。
雅夫同様、ガラスの破片がささったものに対しては、ガラスの破片を抜き、止血するのを手伝って回った。
「すまんのー。」
止血法を知っていて良かったと思った。
「これで、一通り、大丈夫そーじゃのー。」
雅夫は、やっとこさ、列車の外へ出ようとした。
「ドアは歪んでしまって、開きゃー、せんどよー、日曜。」
「おーい。」
「動けそーなもんは、てごー、してくれー。(手伝ってくれ。)」
「窓を蹴破るでー。」
「おっしゃ。」
「せーのー運輸。」
「ガシャーン!!」
「やったのー!!」
「ほーじゃのー!!」
壊れかけた窓ガラスを蹴破り、脱出路を確保した。
「まずは、わしが出てみるけー。」
まずは、雅夫が、列車の窓から、出てみることとした。
ガラスの破片で怪我をしないように、慎重に、足から脱出した。
「大丈夫のようじゃけー、皆、出てみんさいや。」
「てごー、しちゃるけー。」
そして、他の者が脱出するのを手伝った。
「眼の見えんもん、骨折しとるもんは、先に出んさい。」
「後は、年寄り、子供、女じゃ。」
皆で、助け合って、列車の窓から、どんどん脱出していった。
「やべー」
「火が出とるで!!」
見ると、すぐ傍で、火事が起こっていた。
8時15分と言えば、未だ、家によっては、遅い朝食のところもある。
さっきの爆風で、失火し、火災が発生したのだろう。
当時は、未だ、木造家屋がほとんど。
あっという間に燃え広がる。
「はよう、逃げにゃー、つあーりゃーせんでー(つまらない)。」
「はよう。」
「はよう。」
何とか、生き残った者は、全員脱出。
「火がまわらんうちに、逃げるで。」
○列車の外:火災
列車の外は、火災だらけ。
ボロイ家は、一瞬で、ぶっ飛んだようで、多少頑丈な家も、火が登っている。
皆、一所懸命、自分の家の火を消そうと、必死である。
木造家屋である。
火は、壁をつたい、天井に差し掛かっている。
「火事じゃー!!」
「みんな、火を消すのー、てごー、してくれー!!」
「あきらめて、はよー、逃げんさい。」
「火が天井にいったら、もう、消すのは、無理じゃ。」
「ほいじゃー、貴重品を取りー、戻らにゃー。」
「権利証やハンコもあるんじゃ。」
「そがーなもなー、のーても(無くても)、死にゃーせんけー。」
そう、権利証(登記済権利証)が無くても、証人2人以上で再発行は可能なことを、雅夫は知っていた。
又、実印も、再登録すればいいだけのことも。
預金通帳・銀行印だってそう。
本人証明できれば、再発行・手続できるのである。
強いて言えば、現金だろうが、これだって、最悪、大規模非常事態にでもなれば、只の紙切れになってしまう。
むしろ、当面・ニチメン、生き延びるためのサバイバルグッズの方が重宝する。
家に貴重品を取りに戻ったことで、二度と戻れなくなった人達が多い。
一刻も早く非難した人と、家に貴重品を取りに戻り逃げ遅れた人とで、生死を分けたのである。
「じねんに(段々と)、火に囲まれてきょーるで。」
「はよう、にげにゃー。」
「あっちの方が、火がなさそうで。」
「あっちに向かって、逃げよう。」
雅夫達は、火の無さそうな方向に向かって逃げ、何とか、火の気の無い辺りまで、脱出することができた。

