「修繕費がかからない新築アパートがいいと思うんですが、ちなみに修繕費はいくらくらい積み立てればいいでしょうか?」という質問がありましたのでお答えします。
建物のライフサイクルコストという考え方があります。建築→修繕・管理→解体・処分で1サイクル。
およそ60年の耐用年数を想定している鉄筋コンクリート造の建物などは建築費の4~5倍かかるといわれています。木造は想定年数がもっと短いですからもうすこし少なくなりますが。
修繕費の考え方は二つあります。ひとつはご指摘のように経費化して積み立てる考え。ただ、これは資本改善の予算ですから厳密にいうと経費ではありません。ファンドなどはこういった見方をします。
もうひとつは、
修繕をすることによって空室率の低下や賃料の上昇、売却価格の上昇といった影響が発生しますので、それをひとつの投資行為として捉える考え方です。
この場合、中間分析という手法を使って修繕の実施に対する投資判断をします。これはCPMの考え方です。
もしも、前者で予算組みをするならば、想定される修繕項目をピックアップしてそれぞれの交換時期や修繕時期を勘案しながら決めていくという順番になります。塗装なんかは使う塗材によって持つ期間が違いますから注意してください。
例をあげれば・・・・
木造AP 1R6世帯 延床面積30坪の場合
1)外壁塗装(屋根含む)70万円・・・・12年サイクル
2)階段などの鉄部塗装20万円・・・・6年サイクル
3)給湯器7万円×6戸=42万円・・・・8年サイクル
4)内装のオーナー負担分5万円×6戸=30万円・・・・8年サイクル(4年で入替え2回ごと施工と仮定)
5)キッチン交換10万円×6戸=60万円・・・・20年サイクル
6)ユニットバス交換60万円×6戸=360万円・・・・20年サイクル
とすれば・・・。
1)58,333円/年+2)33,333円/年+3)52,500円+4)37,500円+5)30,000円/年+6)180,000円/年
=391,666円/年
ということです。ここで気が付かれるかもしれませんが、こういった建物の修繕費は都心でも地方でも同じなんです。
賃料坪単価12,000円取れる都内などの地域であれば1万2千円×30坪×12ヶ月=432万円の家賃収入ですから、修繕費の積み立ては家賃に対して約9%程度と思っておけばいいわけです。
賃料坪単価4,000円の地方であれば4千円×30坪×12ヶ月=144万円ですから、修繕の負担は27%にものぼります。
「家賃の安いところでの投資は大変ですよ」といつもお話ししていますがこういったことも理由のひとつです。
もちろん地方は地方なりのやりかたがありますから否定するわけではありませんが、こういったことも知っておかないと計画が狂ってしまうことがあるという事です。
それから新築は中古に比べると初期においては修繕費用はたしかにかかりませんが、いずれ修繕は必要にはなります。
逆に中古になっていく過程で賃料が下がってくるリスクもあります。新築の賃料ってプレミアムが付いていますから。
また、中古の物件のように資本改善して価値を上げるということもできませんから、あくまでも「特徴」であって「有利な面」とは単純に言えないところです。
後者のCPM的な中間分析についてはまた別の機会にご紹介しますね。

