昨日の朝も新聞の一面広告で都心のワンルームマンションがでかでかと
売り出されていました。
都営地下鉄M駅徒歩2分で最高の立地ですし、もちろん新築ですから
設備関係も充実しています。
「この春、大学入学されるお子様の住まいとして」
「生命保険の代わりに」
「老後の収入源として」
タタミかけるように魅力的な言葉が語りかけてきます。
年間家賃収入1,110,000円、年間運用利回り4.84%。
(***号室23.09㎡2290万円を自己資金230万円ローン2060万円で家主代行システムを
利用した場合)となっています。
どうでしょう。買いたくなりましたか?
では投資分析をして見ましょう。
広告の下のほうに虫眼鏡でないと読めないような活字で「物件概要」が記載されて
います。その中から、①全体の敷地面積②全体の建物延べ面積③その部屋の面積。
これを抽出すると土地の持分が計算できます。その後、路線価図からその場所の
課税標準額を算出。建物も構造と面積でおよそ計算できます。・・・この作業で
運営費である固定資産税、取得費である取得税・登録免許税などが計算できます。
ほかに運営費であれば家賃代行の手数料・管理費・修繕積立金などが概要から拾
えます。
こうした下準備のあと、投資指標に落とし込むのです。
もちろん、家賃設定が適正かどうかを検索サイトで調べておくことは当然です。
計算の結果、取得にかかる諸費用は物件価格の他に約70万円、運営費は年間
22万円と出ました。
GPI(満室時の家賃) 111万円
△空室・未収損 考慮せず
EGI 111万円
△OE(運営費) 22万円
NOI(ネット収入) 89万円
ADS(年間返済) 91万円
CF(キャッシュフロー) マイナス2万円(!)
取得費は自己資金(E)300万円+借入(LB)2060万円ですから合計2360万円です。
投資の効率を見る指標FCR(ネットの利回り)は3.77%、CCR(自己資金の利回り)
にいたってはマイナス0.68%です。
また、投資の安全を見る指標DCR(返済に対しての収入の割合)は0.98(=1を
切るとその場で破綻です)、BE%(損益分岐点)は102%で年間を通じて満室で
あっても赤字です。
団体信用生命保険には入りますから生命保険のかわりにはなるかもしれませんね、
でも新築マンションですから間違いなく最初の5年で家賃は下がります。15%程度
の下落として年間約17万。1年のうち1ヶ月平均の空室があったとして更に8万円、
もともとの赤字2万円。合わせて年間27万円の掛け金の生命保険と比較検討という
ところでしょうか。
大学入学する子供のために?ふつうは4年間で卒業ですね、この物件を9万円で借
りれば432万円の家賃がかかります。
でも、子供から家賃を取らない限りはその分が持ち出しということですよね。
子供が出た後にリフォームをかけて築4年の中古マンションとして貸しに出すと
新築時のプレミアム家賃は取れませんし、改装費も取得原価に追加されます。
老後の収入源?ローン借入期間の35年間家賃も下がらず2.7%で設定した金利が
絶対上がらずさらに35年間1ヶ月も空室にならなくても年間2万円の持ち出しです。
天文学的な可能性でそれが実現できたとしても、年間89万円のキャッシュフロー
が手元に来るようになるのは35年後の話です。いったい何歳になっているので
しょうか(私は80歳になっています)。
別に商売の邪魔をしようとは思っていませんが、知らずに売っている人・買って
いる人があまりにも多いのでもっと勉強をしてほしいなと思います。
知っていて「それでもいいんだ」ということであれば全く問題ありませんが、
「こんなはずじゃなかった」と泣いてもあとの祭りですから。
